払済保険とは?4つのメリット・デメリットと注意点を解説
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更新日:2023/12/26
「払済保険」とは保険の商品名称ではなく、生命保険の見直し方法の一つです。この記事では、生命保険の見直しをしたい人が、払済保険のことを正しく理解できるように、払済保険を検討すべき人、メリット・デメリット、注意点などをわかりやすく解説しています。
ぜひ最後まで読んでいただき、保険の見直しにお役立てください。
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払済保険とは
「払済保険」とは生命保険の見直し方法の一つです。保険料の払い込みを中止して、その時点での解約返戻金をもとに、保険期間をそのままにした保障額の少ない保険に変更する方法です。特に保険料の負担を減らしたいときに活用します。
保険料の負担が厳しいと保険契約の解約を考えてしまいますが、いったん解約をしてしまうと、その時点で保障がなくなり元に戻すことができません。払済保険を利用すれば、保険契約を解約せずに、保障額を減額して継続させることができます。
払済保険にできる保険
払済保険は解約返戻金をもとにしていますので、解約返戻金がある保険に限られます。解約返戻金がある保険とは、終身保険、養老保険そして個人年金保険などです。解約返戻金がない掛け捨てタイプの保険は、原則として払済保険に変更することはできません。
なお、契約内容によっては解約返戻金がある保険でも払済保険に変更できない場合もあります。ご自身が加入している保険が払済保険に対象になるのか保険会社に確認してみましょう。
払済保険を検討する理由
では、どのようなときに払済保険を検討すべきなのか、見てみましょう。
保険料の支払いを続けるのが難しい
払済保険を検討する理由として最も多いのが、「保険料の支払いを続けるのが難しい」というものです。子どもが生まれたため教育費など子育てにお金がかかる、マイホームの購入により住宅ローンの負担が発生するなどにより、家計が圧迫されて、保険料の支払いを続けるのが難しいということが起こり得ます。家計が圧迫されると、保険契約の解約を考えます。
しかし、解約してしまうとこれまでの保障が全くなくなってしまい、元に戻すことができません。
そのようなときに、保険契約を解約せずに払済保険に変更すれば、保険料の負担をなくして、一定の保障を継続することができます。
保障内容を見直したい
「保障内容を見直したい」という理由で払済保険に変更する人も少なくありません。払済保険に変更すれば、保険料の負担がなくなります。その分の保険料を利用して、他の保険料が割安な保険に加入して、保障を厚くすることができます。
また、保険ではなく「iDeCo」や「NISA」制度(2024年から新NISA)で運用して、将来の老後資金の準備に充てるということも考えられます。
「iDeCo」とは、自分が拠出した掛け金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。原則として60歳になるまでは受給できませんが、掛け金拠出時、運用時、受取時に税制上のメリットがあります。
「NISA」とは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。非課税となる投資枠は24年1月から年120万円(つみたて投資枠の場合)までで、無期限に収益が非課税になります(非課税保有限度枠は1800万円)。
払済保険の4つのメリット
払済保険に変更した場合、どのようなメリットがあるのか、について見ていきましょう。
保険料の負担がなくなる
なんといっても払済保険に変更することの最大のメリットは、それまで支払っていた保険料の負担がなくなるということです。保障額は減額されますが、最低限の保障は続きますので、解約して保障がなくなってしまうよりもお得です。家計が苦しくなったときなどに大きな効果を発揮します。
解約返戻金は運用され続ける
払済保険では、それまでに積み立てた解約返戻金を利用して、一時払い保険料に充てています。そして払済保険に変更した後も、その一時払い保険料は引き続き運用されていきます。
払済後も保険料が運用されていくことで、少しずつ解約返戻金は増加していき、解約をすれば解約返戻金を受け取ることができます。
最低限の保障は続く
払済保険に変更すると、それまで支払っていた保険料の負担がなくなりますが、解約をしたわけではありません。それまでに積み立てた解約返戻金を一時払い保険料に充てていますので、保険料の負担がなくなったにもかかわらず、最低限の保障が継続されます。
解約をしてしまえば保障は全くなくなってしまいますので、払済保険に変更する方がお得です。
面倒な手続きがない
払済保険への変更は、新たな保険に加入するわけではありません。そのため健康状態の告知や医師の診査などの手続きは不要になります。保険の見直しをするに当たり、「面倒な手続きなく行える」ということは選択肢を考える上で有効です。
このことも払済保険に変更することのメリットの一つといえるでしょう。
払済保険の4つのデメリット
では逆に払済保険に変更することによるデメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?
万が一のときの保障額が減る
払済保険に変更することによる最大のデメリットは、何といっても万一のときの保障額が減ってしまうことです。保険料の支払いはなくなりますが、保障額が減り、これまでと同じ保障を得ることができなくなります。
払済保険に変更する際には、保険料の負担を減らすことだけを考えずに、他に加入している保険も含めて、本当に必要とする保障が確保できているのか注意しましょう。
払済保険にできない場合がある
払済保険に変更したいと思っても、すべての保険が対応できるというわけではありません。保険の種類や保険会社の規定によっては対応できないことがあります。例えば、「加入後10年間は払済保険にはできない」というような制限などです。
また、払済保険に変更時には解約返戻金を充当しますが、解約返戻金が少なくて対応できないということも考えられます。
特約がなくなる
払済保険に変更すると、これまで保険契約に付加されていた特約はなくなります。例えば、医療特約、介護特約、収入保障特約などが付加されていた場合、払済保険に変更すると特約はなくなってしまいます。
ただし、リビング・ニーズ特約(余命が6カ月以内と診断された場合に、死亡保険金の一部または全部を前払いで受け取れる特約)については継続できることが多いので、保険会社に確認してみましょう。
元の保険に戻せない場合がある
払済保険に変更した後で、やはり保障が不十分であり、また保険料も支払える余裕ができたので、元に戻したいと思ったら、簡単に戻せるのでしょうか?
結論としては、一度払済保険にしてしまったら、元に戻せない場合があるということになります。
払済保険を元の保障内容に戻すことを「復旧」といいます。復旧は、保険会社が定めている所定の期間内であれば対応してもらうことができますが、健康状態の告知や診査など必要な手続きがあります。また、復旧を取り扱わない保険会社や商品もあります。以上のことから、元に戻すのは簡単ではないと理解しておきましょう。
延長保険もあわせて検討しよう
払済保険と併せて検討していただきたいのが「延長保険」です。延長保険とは、払済保険と同様に、保険料の支払いを中止して、その時点での解約返戻金を元に、保険金額が同じ定期保険に変更することです。
それまで加入していた保険契約の解約返戻金を元にするのは同じですが、払済保険への変更とは異なり、保障金額はそのままで、保険期間が短くなります。払済保険、または延長保険への変更を検討する際には、保障額を取るのか、それとも保険期間を取るのか、どちらを優先するのかをよく比較検討しましょう。
なお、延長保険に変更した場合も、それまで保険契約に付加されていた特約は消滅します。延長保険へ変更するための要件は保険会社や商品によって異なりますので、保険会社へ確認が必要です。
迷ったらプロに相談を
払済保険や延長保険に変更すると保険料の支払いはなくなりますが、メリットやデメリットについても考えなければなりません。保険の見直しに当たっては、保険料の負担が軽くなるということだけでなく、家族構成やライフプランなどについても考慮しながら検討する必要があります。どうすれば良いのか迷ったときには、専門知識を持つプロに相談しましょう。
ゼクシィ保険ショップでは、保険の見直しだけでなく、家計やライフプランニングに関してもまとめて相談ができます。さらに何度相談しても無料です。オンライン相談も可能ですので、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
※掲載の情報は2023年12月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
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