住民税の負担軽減に役立つ生命保険料控除制度とは
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更新日:2022/10/28
払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額がその年の所得から差し引かれる「生命保険料控除」という制度があります。この制度を活用すれば、所得税と住民税の負担を軽減することができます。本記事では、生命保険料控除とは何か、住民税が軽減されるとはどういうことかをわかりやすく解説します。結婚を機に家計やライフプランの見直しをしている人は、ぜひ参考にしてください。
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生命保険料控除制度とは
生命保険料控除は所得控除の一つで、生命保険や医療保険などに加入して保険料を支払っている場合に、支払った保険料の額に応じて課税所得から控除される制度です。控除額は、1月1日から12月31日までの1年間で支払った保険料で計算されます。
生命保険料控除を申告すると
所得税と住民税の負担軽減ができる
毎年納める所得税や住民税は、課税所得に一定の税率をかけて計算するため、生命保険料控除から課税所得額が控除されると、その分所得税や住民税の負担を軽減することができます。ただし、いくらでも控除が受けられるわけではなく、控除の限度額は決まっています。所得税と住民税ではそれぞれ控除の限度額が異なり、住民税の控除額は所得税の控除額より低くなっています。
生命保険料控除は3区分ある
保険の主契約と特約のそれぞれの保険料に適用される生命保険料控除は、保険内容によって、一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の3区分に分かれます。
一般の生命保険料控除 | 生存または死亡した場合などに原因して一定額の保険金が支払われる保険を対象とする |
個人年金保険料控除 | 個人年金保険料税制適格特約*をつけた個人年金保険を対象とする |
介護医療保険料控除 | 入院・通院などにともなう寄付金のある保険を対象とする |
※税制適格特約を付けるためには、受取人が契約者本人か配偶者であること、保険料の払込期間が10年以上であること、年金受取開始が60歳以降で受取期間が10年以上であることなどが要件となります
特約などの名称にかかわらず、どう分類されるかは保障内容によって異なるため生命保険会社に確認する必要があります。なお、生命保険料控除を申告する際に必要な「生命保険料控除証明書」(毎年10月くらいに保険会社から送付)を見ることでも自分が加入している保険がどの区分に該当するかを確認することができます。
住民税の生命保険料控除は所得税を申告すればOK
年末調整や確定申告で所得税を申告さえすれば、住民税について特に何かをする必要はありません。会社員などの場合、年末調整の時期に会社から渡される「給与所得者の保険料控除申告書」へ必要事項を記載し、「生命保険料控除証明書」を添付して勤務先へ提出すれば、住民税の控除が受けられます。一方、自営業などで確定申告をする場合は、確定申告時に生命保険料控除を申告します。年末調整と同様に、「生命保険料控除証明書」を添付して提出すればOKです。申告書類作成は基本的に書類に書かれている指示に従って記載していけば完成するので、それほど難しくありません。
生命保険料控除制度には旧制度と新制度がある
2012年に法改正があったため、生命保険料控除制度の中でも、加入した時期によって旧制度と新制度の2種類が並存しています。
- ・旧制度は2011(平成23)年12月31日以前に結んだ契約が対象、従来の制度が適用される
- ・新制度は2012(平成24)年1月1日以降に新契約、または所定の変更をした場合に適用される
旧制度から新制度の大きな変更点は、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除に加え、介護医療保険料控除が新設されたこと。また制度変更によって、それぞれの保険料控除の限度額も変わりました。介護医療保険料控除が新設されたことによって、制度全体での適用限度額が拡充した結果になります。
旧制度・新制度の生命保険料控除の計算方法
加入している保険が旧制度と新制度のどちらの対象なのかによって、生命保険料控除の計算方法は変わります。それぞれのパターンについて確認しておきましょう。
旧制度の計算方法
旧制度の場合、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の2つの区分ごとに、1年で支払った保険料を合算し、その年間払込保険料に応じて控除額が計算されます。
【旧制度】
所得税
年間払込保険料 | 控除額 |
---|---|
2万5000円以下 | 払込保険料の全額 |
2万5000円超〜5万円 | (払込保険料×1/2)+1万2500円 |
5万円超〜10万円 | (払込保険料×1/4)+2万2500円 |
10万円超 | 一律5万円 |
住民税
年間払込保険料 | 控除額 |
---|---|
1万5000円以下 | 払込保険料の全額 |
1万5000円超〜4万円 | (払込保険料×1/2)+7500円 |
4万円超〜7万円 | (払込保険料×1/4)+7500円 |
7万円超 | 一律3万5000円 |
旧制度での生命保険料控除の適用限度額は、一般生命保険料と個人年金保険料控除それぞれに関して、所得税5万円、住民税3万5000円。2つの控除を合計した適用限度額は所得税10万円、住民税7万円となっています。
旧制度の生命保険料控除の適用限度額
一般生命保険料控除 | 個人年金保険料控除 | 合計適用限度額 | |
所得税 | 5万円 | 5万円 | 10万円 |
住民税 | 3万5000円 | 3万5000円 | 7万円 |
新制度の計算方法
新制度の場合、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つの区分ごとに、1年で支払った保険料を合算し、その年間払込保険料に応じて控除額が計算されます。
【新制度】
所得税
年間払込保険料 | 控除額 |
---|---|
2万円以下 | 払込保険料の全額 |
2万円超〜4万円 | (払込保険料×1/2)+1万円 |
4万円超〜8万円 | (払込保険料×1/4)+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
住民税
年間払込保険料 | 控除額 |
---|---|
1万2000円以下 | 払込保険料の全額 |
1万2000円超〜3万2000円 | (払込保険料×1/2)+6000円 |
3万2000円超〜5万6000円 | (払込保険料×1/4)+1万4000円 |
5万6000円超 | 一律2万8000円 |
新制度での生命保険料控除の適用限度額は、一般生命保険料、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除それぞれに関して、所得税4万円、住民税2万8000円。3つの控除を合計した適用限度額は所得税12万円、住民税7万円となっています。住民税に関しては、2万8000円の3倍ではなく、旧制度と同様に7万円のままなので、注意が必要です。
新制度の生命保険料控除の適用限度額
一般生命保険料控除 | 介護医療保険控除額 | 個人年金保険料控除 | 合計適用限度額 | |
所得税 | 4万円 | 4万円 | 4万円 | 12万円 |
住民税 | 2万8000円 | 2万8000円 | 2万8000円 | 7万円 |
新・旧制度の両方に加入している場合の計算方法
複数の保険に加入し、新制度の保険と旧制度の保険の両方がある場合、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除に関しては、それぞれの控除ごとに以下の3つのいずれかを選択することができます。
- ①旧契約のみで申告
- ②新契約のみで申告
- ③旧契約と新契約の両方で申告
③を選んだ場合、各控除の適用限度額は、所得税4万円、住民税2万8000円。また全体の適用限度額は、所得税12万円、住民税7万円です。
生命保険料控除の手続きをする際の注意点
生命保険料控除の手続きを行う場合には、いくつか注意するべき点があります。以下では、その中でも特に重要なものを紹介します。
生命保険に加入している場合は所得税・住民税軽減に役立つので忘れずに申告する
ここまで解説してきたように、生命保険に加入している場合、所得税だけではなく住民税も軽減されます。せっかくある制度なので忘れずに申告し、有効活用するようにしましょう。
給与所得者が生命保険料控除を申告するのを忘れてしまった場合、5年間還付申告が可能
給与所得者など確定申告の必要がない人は、生命保険料控除を申告できなかった、もしくは申告しなかった分がある場合、還付申告する年分の翌年1月1日から5年間還付申告を行うことが可能です。
生命保険料控除証明書はしっかり保管しておく
保険会社から契約者の自宅に送られてくる「生命保険料控除証明書」は年末調整もしくは確定申告までしっかり保管しておくようにしましょう。ただし保険料が給与から天引きの人は年末調整時の添付は不要です。もし紛失してしまった場合などは、保険会社に再発行の申し込みをします。また給与所得者で、再発行が年末調整までに間に合わない場合は手元に届いてから確定申告をします。
生命保険料控除対象外の特約があるので注意する
傷害特約や災害割増特約、保障がない特約などの保険料は、新たな生命保険料控除の対象外となります。そのため、実際支払った保険料と生命保険料控除証明書に記載されている保険料の金額が異なる場合があるので注意が必要です。
生命保険控除は忘れずに活用を
生命保険料控除は、払い込んだ生命保険料に応じて、一定額が所得から差し引かれる制度です。利用しないともったいない制度なので、有効に活用しましょう。生命保険や生命保険料控除についてわからないことがあれば、ぜひゼクシィ保険ショップにご相談ください。
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※掲載の情報は2022年10月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
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