終身年金保険の特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説

更新日:2023/01/30
保険の見直しや加入を検討しているが、保険にも数多くの種類があり、どの保険に入ったらいいか悩んでいるという方は多いのではないでしょうか。本記事では個人年金保険のなかの1つである「終身年金」に焦点を当て、わかりやすく解説していきます。また終身年金を含む個人年金保険に加入する際の注意点までご紹介します。ぜひ保険を選ぶ際の参考にしてください。
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終身年金とはどのような保険か
「終身年金」とは、被保険者が生きている限りお金を受け取り続けることができる保険で、民間の保険会社が扱う「私的年金」の1つです。私的年金には企業単位の年金と個人単位の年金がありますが、終身年金は個人単位の年金の中の1種類にあたります。
私的年金制度とは
年金は大きく「公的年金」と「私的年金」の2つに分けることができます。公的年金は日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての方が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社などに勤務している方が加入する「厚生年金」から成り立ちます。一方、私的年金とは公的年金の上乗せの給付を保証するものです。この私的年金には、「企業型確定拠出年金」、「確定給付企業年金基金」、「厚生年金基金」といった企業単位の年金と、「国民年金基金」や「iDeCo」などの政府が用意している個人単位の年金制度、さらに民間保険会社で加入する「個人年金保険」があります。上述のように、終身年金はこの個人年金保険の一つです。
個人年金保険の加入目的は老後の生活資金準備などのため
個人年金保険は、民間の生命保険会社が運営する、老後のための資金を作る金融商品。公的年金や貯蓄だけでは老後使えるお金が不足すると考えた人が、老後の生活資金準備などを目的に加入するもので、加入義務はありません。保険料を払い込み、契約時に決められた年齢に達すると保険料に応じた年金を受け取れるというのが基本的なしくみです。
また、個人年金保険に加入していると、「個人年金保険料控除」を受けることができます。これは、個人年金保険に加入し払い込んだ保険料の額に応じて所得税や住民税の負担が軽減される制度。このように、上手に活用すれば節税につながる点も個人年金保険のメリットの一つです(記事執筆時時点の情報のため、つねに最新情報をご確認ください)。
個人年金保険は3種類
個人年金保険にもいくつかの種類があり、「終身年金」もその一つですが、そのほかにも「確定年金」と「有期年金」があります。それぞれ年金の受け取り期間などが異なります。
終身年金の特徴
終身年金は、その名前の通り、被保険者が生きている限り一生涯年金を受け取れることを特徴とした保険商品です。被保険者が生きていれば、個人年金保険のなかでもっとも長く年金を受け取ることができます。ただし年金受け取り中に被保険者が亡くなった場合、年金の支払いは終了となり、引き続き相続人が受け取ることはできません。そのため本当に長く受け取れるかどうかは、加入後の被保険者の生死によって変わってきます。また、設定された保証期間中に被保険者が亡くなった場合、相続人に年金が支払われる「保証期間付き終身年金」という商品もあります。
確定年金の特徴
確定年金は、決められた一定期間、年金を受け取れるというタイプ。受け取り期間は5年、10年、15年などと決まっています。被保険者の生死を問わず、あらかじめ決められた期間だけ年金を受け取れるのが特徴です。そのため、年金受け取り期間中に被保険者が死亡した場合でも、残りの受け取り期間の年金相当額を、相続人が一時金もしくは年金として受け取ることができます。
有期年金の特徴
有期年金も確定年金と同様に、年金の受取期間が10年や15年などと決まっているタイプです。ただし被保険者が死亡すると年金受給は終了する点で、確定年金とは異なります。そのため、年金受け取り中に被保険者が死亡した場合はその時点で年金の支払いが終了し、相続人が残額を受け取ることはできません。なお一部、被保険者が設定された保証期間中に死亡した場合、相続人に年金が支払われる「保証期間付きの有期年金」もあります。
終身年金のメリット
終身年金のメリットは、年金が一生涯受け続けられるということです。「人生100年時代」と言われる近年、長生きすることによって生じる経済的なリスクに不安を感じている方は少なくないでしょう。その点、終身年金は生存している限り年金を受け取れるので、長生きのリスクに備えるうえで大きな味方になってくれます。
終身年金のデメリット
終身保年金は年金の受け取り期間や金額が決まっていないため、被保険者が長生きした場合も想定して、保険会社は保険料を高めに設定しています。そのため終身年金では、保険料が比較的割高になるというデメリットがあります。
また、被保険者が早期に亡くなってしまうと、支払った保険料より受け取った年金額のほうが少なく、元本割れする可能性があるというリスクもあります。終身年金で元本割れしないようにするにはある程度長生きする必要があります。
個人年金保険に加入する際の注意点
終身年金を含む、個人年金保険に加入する際には、いくつか注意しなければならないポイントがあります。以下ではそれらの注意点を解説しておきます。
保険会社の破綻による影響
万一、加入した保険会社が破綻した場合でも、生命保険契約者保護機構による一定の契約者保護が図られるため、年金がまったく受け取れないわけではりません。とはいえ減額されてしまう可能性があることに注意が必要です。
インフレやデフレの影響
インフレまたはデフレによって年金を受け取る時期のお金の価値が変動してしまう可能性があることも理解しておきましょう。将来受け取れる年金額は個人年金保険に加入した時点で確定しますが、そのあとでインフレが起こるとお金の価値が下がるため、実質の年金額の価値が下がります。
長期間の支払いが必要
個人年金では、途中解約すると多くの場合元本割れしてしまいます。収入が安定せず長期間支払いを続けることに不安がある場合、個人年金保険は向いていないと言えます。翻って、安定的な収入が見込める人、長年積み立てられる人、なるべくリスクを避けたい人には向いています。また、公的年金と預貯金や退職金だけで老後の生活費を賄える人には個人年金保険の加入は特には必要ないとも考えられます。
貯蓄が苦手でも生活資金を計画的に貯められることや受けられる控除があることはメリット
個人年金保険の場合、年金支払い前に解約した場合は払い込んだ総額より解約返戻金の額が少なくなったり、すぐにお金を引き出したりできません。また解約に対しても一定のハードルがあるため、計画的な貯蓄につながりやすいという面があります。またすでに述べた通り、個人年金保険料控除が受けられるというメリットもあります。ただし節税目的だけでは加入しないようにしましょう。
どの個人年金保険に入ったらいい?選び方は?
すでに解説したように、個人年金保険にもいくつかの種類があります。どの保険を選ぶとしても保険商品としての特性が異なるため、それぞれの特性をよく理解したうえで、自分に適した年金を選ぶことが必要です。以下では、終身年金と確定年金の比較を例として見ていきましょう。
年金の受取期間や受取金額が決まっているか否かで選ぶ
終身年金と確定年金の最大の違いは、年金の受取期間と受取金額があらかじめ決まっているかどうかということです。
終身年金の場合、被保険者の生死によって年金の受け取り期間、受け取り金額は変動します。そのため長生きすればお得になりますが、もちろん何年生きられるかということは不確定なので、場合によっては元本割れする可能性もあります。
それに対して確定年金の場合は、被保険者の生死に関わらず、年金の受取期間と受取金額は固定されています。長生きかどうかに関係なく、確実に積み立てた保険料以上の年金が受け取れるのです。ただし、確定年金の受取期間が経過した後は公的年金や貯蓄だけで生活する必要があります。
終身年金に向いているか、確定年金に向いているかで選ぶ
終身年金と確定年金のメリット・デメリットは裏表の関係にあると言えます。したがって、自分のニーズを踏まえたうえでどちらに向いているかを判断することが重要です。終身年金と確定年金それぞれに向いている人として、たとえば次のような例を挙げることができます。
【終身年金に向いている人】
・保険料がお得かどうかより老後の安心を得られるほうを重視したい人
終身年金は確定年金に比べて保険料は割高になりますが、一生涯保障が続くため老後に安心して備えられます。
・とにかく長生きした場合の生活費確保に備えたい人
長生きすればその分、生活費や医療費などがかかるリスクは増えていきますが、終身年金であればそうした長生きリスクにも対応可能です。
【確定年金に向いている人】
・元本割れを避けたい人
確定年金は、年金の受取期間と受取金額があらかじめ決まっているため、元本割れの心配がありません。
・老後の資金計画をしっかりと立てたい人
長生きした場合は返金額が不足する可能性はありますが、受け取り金額が明確のため、老後の資金計画を立てるうえでは便利です。
終身年金以外の老後の資産形成に役立つ手段
つみたてNISA
つみたてNISAは、長期・積立・分散投資を通じた資産形成を後押しするために創設された税制優遇制度。毎年40万円まで投資することが可能で、最長20年間、非課税投資枠から得た分配金や譲渡益にかかる税金がゼロになります。少額から毎月コツコツと、長期的に資産形成を行うのに適しています(2024年からは制度改正し、利用期間:無期限、投資枠:年120万円などに変更予定)。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
iDeCoは、老後に必要な資金を準備するための制度。65歳になるまで(2024年以降、69歳に改正される見込み)毎月一定額の掛金で定期預金や保険、投資信託を購入して運用します。60歳以降に運用した資産を換金して、年金や一時金として受け取ります。掛金、運用益、そして給付を受け取るときに税制上の優遇措置が受けられるのが大きなメリットです。
米ドル建て終身保険
米ドル建て終身保険は、保険金や解約返戻金、保険料の額が米ドルで定められている終身保険。円建ての保険に比べて、貯蓄性が高いのが特徴です。ただし、為替レートの変動の影響を受けるため、元本割れのリスクがあります。
トンチン年金
トンチン年金は、年金受け取り前に亡くなった人への死亡返還金(死亡払戻金)や解約返還金を減らし、受け取れる年金額を大きくしている個人年金保険。一般的な個人年金保険に比べて、生きている場合に受け取れる年金の額が多いのが特徴です。
小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主や会社の経営者・役員限定の、退職金を積み立てるための共済。払い込んだ掛金は運用され、退職金として受け取る頃には支払った掛金の総額より増えるというしくみです。
迷ったらプロに相談を
終身年金は、生きている限り一生涯年金を受け取れるため、長生きするほどお得になる年金保険です。今後ますます高まっていくであろう長生きリスクに備えるのにうってつけだといえます。とはいえ終身年金が向いているかどうかは人によって異なるため、自分に合った保険や資産形成に役立つ手段が何か知りたい人は専門家に相談してみるのもおすすめです。
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※掲載の情報は2023年1月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。


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