認知症保険は必要なのか|3つのポイントと4つの注意点を解説
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更新日:2023/03/28
「認知症保険」とは、認知症に備えることに特化した民間の保険です。この記事では、認知症保険が必要かどうか知りたい人に向けて、認知症保険のポイントや注意点を解説していきます。認知症保険への加入を検討する際に、ぜひ役立ててください。
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認知症保険とは
認知症保険は、認知症によって生じる経済的な負担に備えることを目的として加入する保険。認知症を発症する大きな原因は「加齢」と言われており、昨今ますます高齢化が進む日本では認知症の有病率も増加しています。そうした背景のなかでここ数年登場してきた比較的新しい保険が認知症保険です。
認知症保険の基本的な仕組みは、保険会社の所定の状態に該当し、認知症と診断されると保険金・給付金が受け取れるというもの。なかには、認知症によって起こした他害行為や物損に対しての損害賠償金を補償する商品もあります。
民間の介護保険との違い
認知症保険と似た保障内容のものとして、「介護保険」があります。民間の「介護保険」とは、所定の介護状態になると、保険金・給付金が受け取れるものです。認知症に特化したものか、広く介護全体に備えるかの違いとなります。
公的介護保険制度との違い
公的介護保険制度は、認知症だけでなく、判断能力や運動能力が衰えているかなどを総合的に判断して、要介護認定を受けます。認定を受けると、公的介護サービスを本人負担1割などで利用することができます。ただし、要介護認定を受けたからと言って何か現金給付を受けることはありません。
認知症保険は必要か
認知症にかかった場合は、要介護状態となることが多く、介護費用がかかってきます。実際、生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、住宅改造や介護用ベッドの購入などにかかった一時費用は平均で74万円、月々の費用は平均で8万3000円となっています。認知症保険に加入しておけば、万一の場合もまとまったお金が得られるので、認知症になったことで家族に経済的負担をかけたくない、介護費用の心配をしたくない人は検討してみてもいいでしょう。
認知症保険の3つのポイント
ここまで認知症保険について概観してきましたが、ここであらためて認知症保険の主なポイントを整理しておきましょう。
現金を受け取れる
認知症保険の特徴は、万一の際に現金が受け取れるということです。この点で負担軽減が基本である公的な介護保険とは異なります。現金によって保障が得られるため、幅広い用途から自分の必要性に応じて給付金が使える点が認知症保険のメリットです。
給付金の支払い条件が保険によって異なる
認知症保険の給付金支払いの条件は商品によって異なりますが、「連動型」「非連動型」「一部連動型」の三つのタイプに分類することができます。連動型は、介護保険の認定基準に沿って支払われるもの。それに対して、保険会社が独自に決めた基準で支払われるのが非連動型です。その両方の要素があるのが一部連動型で、これは基本的に公的な介護保険と連動していますが、一部に関しては保険会社が独自に決めた基準で支払われるというタイプです。
保障内容は商品によって異なる
保険会社によって、認知症保険の保障内容や給付金の受け取り条件などは大きく異なります。また、糖尿病などの7大疾病や、骨折などの保障を特約として付ければ、さまざまなケースに幅広く対応することができます。とはいえ特約を追加して保障を手厚くすれば、その便保険料も高くなるため、よく検討するようにしましょう。
認知症保険の4つの注意点
認知症保険に加入する場合、特に注意しておくべきなのが、以下の4つの点です。
認知症保険の加入を家族に伝えておく必要がある
認知症になった場合、認知症保険に加入したことそのものを忘れてしまう可能性があります。せっかく保険に加入していても、その事実を知らなければ保険金の請求手続きができなくなります。そのため認知症保険の加入時には、そのことを家族に必ず伝えておくようにしましょう。
なお、家族を「指定代理請求人」に設定しておけば、万が一本人が保険金の請求をできない状況でも、保険金を受け取ることができます。指定代理請求制度とは、被保険者本人に特別な事情がある場合、契約者があらかじめ指定した代理人が被保険者に代わって保険金などを請求できる制度です。基本的に指定代理請求人として設定できるのは被保険者の配偶者または3等身以内の親族です。
全ての認知症が対象なわけではない
比較的新しいタイプ保険のタイプであるということもあって、同じ認知症保険という名前を冠した商品であっても、商品によって給付の対象が異なります。そのため、認知症と診断されれば必ず保険金が受け取れるという訳ではありません。認知症保険の加入を検討する際には、給付金が支給される条件をきちんと確認することが大切です。
保険加入からすぐに認知症になっても支払われないことがある
認知症保険では、1年や180日などの「不担保期間」が設定されていることが一般的です。このような不担保期間が設けられている商品の場合、不担保期間内に認知症と診断されたとしても、その認知症に対しては保障されません。そのため、不担保期間についてもあらかじめ把握しておきましょう。
解約返戻金がない場合が多い
ほとんどの場合、認知症保険は掛け捨て型のため、解約返戻金はありません。それゆえ、保険料の払込期間が満期を迎える前に途中解約してしまうと、それまでに払い込んだ保険料が返ってくることはありません。保険料が支払えなくなるような事態を避けるために、保険料の払込期間も確認するようにしましょう。
認知症保険の選び方
すでに触れたように、認知症保険の内容は保険会社ごとで違いがあるため、きちんと吟味して加入することが大切です。ここでは、認知症保険を選ぶ際に比較のポイントとなる点をいくつか紹介します。
加入条件で選ぶ
認知症保険は要介護状態や認知症と診断される前の、健康状態が良好な人が加入するのが基本です。ただし、なかには認定されてしまったあとでも加入できる引受基準緩和型の商品もあるため、持病がある場合は、そうした保険を検討しましょう。
治療保障か損害補償かで選ぶ
認知症保険は、「治療保障タイプ」と「損害補償タイプ」の二つに分けることができます。治療保障タイプは、認知症にかかる費用として受け取るもの。それに対して損害補償タイプは、認知症となり第三者に損害を与えた場合の個人賠償責任を補償するものです。どちらのタイプを選択するかを決めるためにも、自分がどのようなリスクに備えたいかをはっきりさせておく必要があります。
受け取り方法で選ぶ
認知症保険では、給付金の受け取り方法に関して、「一時金タイプ」と「年金タイプ」があります。一時金タイプはまとまったお金を受け取る方法で、たとえば介護のために必要なものを買いそろえる資金として活用することができます。対して年金タイプは、終身で受け取れる方法。そのため、認知症介護が長引いたときに負担を軽減することができます。両方に加入することも可能ですが、保険料は高くなるため注意が必要です。
認知症以外の保障内容で選ぶ
認知症保険には、認知症にかかった場合だけでなく、入院・手術の費用、行方不明になったときの捜索費用など他のリスクに対する保障が付帯している商品もあります。これらを付帯することによって、認知症以外にも幅広いケガや病気をカバーすることが可能になるため、認知症以外にどのような保障が付帯しているかを選ぶ際の判断材料にしてもよいでしょう。
認知症保険が必要かどうかはプロに相談が近道
認知症に手厚く備えられる認知症保険。平均寿命が伸びていけば、今後ますます注目が高まると思われます。認知症保険の保障内容や給付条件は、保険会社によってばらつくがあるため、加入を検討する際には、よく吟味していくことが重要です。
認知症保険にはさまざまな商品があり、一人で比較検討するのはなかなか難しいところがあります。そうしたときは、プロに相談するのが近道です。ゼクシィ保険ショップでは、ライフプランニングやマネープランニング、保険について、まとめて相談できます。保険だけではなく、家計やライフプランのご相談もでき、何度でも無料です。この機会に、じっくり相談してみてはいかがでしょうか。
※掲載の情報は2023年3月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
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