生命保険に入れない人とは?審査の基準と入れなかったときの対策

更新日:2024/6/4
生命保険の加入時には保険会社の審査があり、審査を通らなければ保険に加入することはできません。そこで本記事では、生命保険の加入を考えている人向けに、保険会社の審査とはどのようなものなのか、入れない人の特徴についてわかりやすく解説します。告知書の記入で重要なポイントも解説していきますので、ぜひ役立ててみてください。
目次(読みたいところまで飛べます) 閉じる


生命保険の審査とは
基本的に、生命保険に加入するときは、申込書と併せて告知書を提出します。保険会社はこの申込書・告知書の内容を基に、申し込む人の加入可否を判断するための審査を行います。
審査の過程で病歴の詳細を確認したり、保険金額が大きいため審査をより詳細にしたりする必要がある場合には、告知書に加えて健康診断書の提出や保険会社指定医師による健診を求められることもあります。審査の結果、加入基準を満たしていなければ「謝絶」となり、保険加入を断られます。ただし、審査の基準は保険会社によって異なるため、別の会社で審査を受けると、加入できることがあります。
生命保険の審査がある理由
保険会社が審査を行う理由は、保険の公平性を保つためです。保険は、大勢の加入者が少しずつお金(保険料)を出し合って共有財産を作り、保険事故が起きたときにはその財産の中からまとまったお金(保険金・給付金)を出して助け合う、「相互扶助」のもと成り立つ制度です。
加入者の中に病気やけが・死亡リスクの高い人がいると、公平性が保たれなくなり、保険制度として成り立ちません。そのため、保険会社は審査を行うことで、加入者の病気やけが・死亡リスクを一定に保つ必要があるのです。
告知書にうそを書くのは厳禁
生命保険の加入審査に通るため、告知書にうその内容を書くことは禁じられています。
保険会社と生命保険契約を結ぶ契約者や被保険者は、自身の健康状態や過去の既往症など重要な事項を保険会社に伝える「告知義務」があります。うその内容を告知書に書くことは「告知義務違反」となり、保険金・給付金などが支払われなくなる、最悪の場合は契約を解除されてしまう可能性があります。その場合、これまで払い込んできた保険料が返還されることはありません。
つまり、うその内容を書いて生命保険に加入できたとしても、うそが露見すれば保険金や給付金を受け取ることはできず、保険料も払い損になるというわけです。「バレなければ大丈夫」と思うかもしれませんが、保険会社には、医療機関の受診歴や健康保険の使用履歴などを調査できる権限があります。病気やけがの履歴はそう簡単に隠せるものではないため、告知書には事実を正確に記入してください。
生命保険に「入れない人」は審査基準を満たしていない
生命保険に申し込みをしても、保険会社から「謝絶」の連絡がくることがあります。謝絶とは、申し込んだ人のリスクをさまざまな観点で審査した結果、保険会社から「審査基準を満たしていない」として、生命保険の引き受けを断られることです。
謝絶になった人の中には、「健康状態には問題がないのに、なぜ加入できないのか」と思う人もいるでしょう。しかし、謝絶と判断される要素は健康状態だけではありません。申し込み内容を総合的に判断した結果、健康状態に問題がなくても他の要素で引き受けを断られることがあるので注意しましょう。
生命保険加入で審査される4つのリスク
先述のとおり、保険会社の審査で謝絶と判断される要素は健康状態だけではありません。健康状態も含めて審査対象となる、4つのリスクについて解説していきましょう。
現在の健康状態・過去の病歴についてのリスク
一般的に、生命保険の告知書では現在の健康状態と過去5年以内の傷病歴に関する質問があり、告知内容によってはリスクがあると見なされます。なお、うつ病など精神的な疾患もリスクと見なされる可能性があります。
ここで気を付けたいのは、リスクを正確に判断できない状態の人です。例えば、近々入院や手術の予定がある人や、健康診断で「要再検査」「要精密検査」という指摘があるのに検査をしていない人です。治療を終えていればリスクを細かく判定できますが、治療を受けていない人はリスクの判定すらできません。場合によっては、過去に入院や手術歴がある人よりも引き受けを断られる可能性が高くなります。
入院や手術が必要な人は一通りの治療を終えてから、検査が必要な人は検査を受けて結果が出てから、申し込むようにしてください。
身体上のリスク
保険会社は、傷病歴に加えて身体上のリスクも踏まえて審査をしています。体重や身長から導き出される被保険者の体格、身体の障害状態、直近の妊娠・出産経験の有無も含めて、将来発病するリスクがあるかどうかをさまざまな観点で判断しています。
体重や身長に関する質問の有無は商品によってない場合もありますが、妊娠・出産や障害状態に関する質問項目は、多くの告知書にあります。病気ではなくても、該当する項目があればリスクと見なされる可能性はあるので注意しましょう。
なお、身体の状態や他のリスクによっては、特定の部位だけ保障対象外となり、他の部位は保障対象となる条件付き契約になる人もいます。質問に当てはまる項目があるというだけで「リスクがあるから無理」と思わず、保険会社が正しい審査を行えるよう、詳細な状態を書くことに努めてください。
職業のリスク
職業のリスクとは、保険事故が発生しやすくなる職業や仕事内容のことです。例えば、オフィスでデスクワークを行う会社員と比べると、高所など危険現場で作業を行う建設会社の職員や、各種乗り物のドライバー、スタントマン、プロのスポーツ選手といった職業の人はけがをするリスクが高くなります。
こうした職業上のリスクがある場合は、保障額を制限する、特定の保障を対象外にするといった条件付き契約となる可能性があります。まずは、仕事内容を詳細に書き、審査を受けるようにしましょう。
モラルリスク
モラルリスクとは、保険金や給付金を不正に受け取ろうとするなど、保険制度の悪用につながる道徳的なリスクを指します。保険制度の運営に大きな影響を与えるため、モラルリスクが疑われる場合は契約自体を断られます。
例えば、専業主婦や未成年の子どもなど、社会通念上、高額な保障が必要ないと思われる人を被保険者にするケースです。こうした人を被保険者に、複数かつ多額の死亡保険契約を結ぼうとすれば、モラルリスクを疑われる可能性は高くなります。また、被保険者の同意を得ず、第三者が勝手に契約を結ぼうとする行為も同様です。
モラルリスクが疑われる行為はさまざまで、本人に保険制度を悪用する気がなくても、契約を断られることはあります。不安な人は保険会社やファイナンシャルプランナーなど、保険のプロに相談し、適正な契約プランを検討しましょう。
生命保険に入れなかったときの4つの対策
ここでは、生命保険に入れなかったときの対策を4つご紹介します。諦める前に、違う方法で加入できないか、一度検討してみてください。
違う保険会社で申し込む
審査の基準は保険会社や商品によって違うため、会社を変えて申し込むのも一つの方法です。傷病歴や身体状況によっては条件付き契約となることもありますが、条件の内容も保険会社によって違います。複数社の結果を比較し、最も条件が良い会社の商品を選んで加入する方法もあります。
ただし、先述したように入院や手術の予定を控えている人や、必要な検査を受けていない人は要注意です。受けるべき治療や検査がある場合は、正しいリスクを判定できるよう治療や検査に専念してください。
「引受基準緩和型保険」「無選択型保険」を検討する
引受基準緩和型保険や無選択型保険といった、審査基準が易しい保険を検討する方法もあります。
引受基準緩和型保険とは、名前のとおり審査を引き受ける基準を易しくした保険。告知書の質問項目が少なく、3~5問くらいに絞られています。無選択型保険とは、健康状態に関する告知項目なしで加入できる保険です。どちらも、審査の基準が易しくなっている一方、一定期間保障額が少なくなる、保険料が割高になるといった特徴があります。
審査の難易度によって保険料が変わるため、一般的な保険の次に引受基準緩和型保険、その次に無選択型保険を検討するようにしてください。
一定期間空けてから申し込む
過去5年以内の傷病歴が原因で審査に落ちたと思われる場合、一定期間経過してから申し込むという方法もあります。ただし、この場合は待っている期間の保障がありません。この期間に違う病気にかかってしまうと、保険に入るまでの期間がさらに長くなる可能性があります。
一般的に、健康リスクは年齢を重ねるほど高くなる傾向があります。そのため、一般の保険に入れない期間は緩和型保険や無選択型保険を「つなぎ」の保障として持っておき、健康状態が良好になったときに一般の保険に入り直すという方法もあります。
プロに相談するのも一つの手
保険会社や保険商品によって異なる審査基準を、素人が一つ一つ確かめていくには、膨大な時間が必要です。自身で入れる保険を見つけることが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなど、生命保険のプロに相談することも考えてみてください。
複数の保険会社の商品を取り扱うプロであれば、申し込む人の状態に適した生命保険を提案できるでしょう。
ゼクシィ保険ショップでは、複数の保険会社の契約をまとめてサポート可能です。ライフプランや家族構成、現在の健康状態などから適切な商品・プランを選択し、申込書・告知書の記入までサポートします。
「自分に合った生命保険を知りたいけど、健康状態について窓口などで話すことに抵抗がある」という人は、オンライン相談も可能です。何度相談しても、相談料がかかることはありませんので一度相談してみてはいかがでしょうか?
※掲載の情報は2024 年5月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。


RT-00582-2404