医療保険の種類とは?公的医療保険と民間医療保険をそれぞれ解説

更新日:2025/6/30
医療保険には、公的医療保険と民間医療保険という異なる制度があります。公的医療保険は国や自治体が運営し、すべての国民が加入を義務付けられているのに対し、民間医療保険は生命保険会社などが任意で提供する商品です。本記事では、それぞれの仕組みや種類、代表的な保険内容を解説します。
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医療保険とは
医療保険は大きく「公的医療保険」と「民間医療保険」の2つに分けられます。公的保険は国や自治体が運営し、国民全員の加入が義務付けられています。一方、民間保険は任意加入で、保険会社が提供する多様な商品から選択可能です。以下でそれぞれの特徴を詳しく説明します。
公的医療保険
公的医療保険とは、国や自治体が運営する社会保険制度の一つで、日本の「国民皆保険制度」によって原則すべての国民に加入が義務付けられています。医療費の自己負担割合は年齢や所得に応じて設定されます。
公的医療保険には主に「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3つがあり、職業や年齢によって適用される制度が異なります。加入審査はなく、収入に応じた保険料を支払うことが特徴です。
民間医療保険
民間医療保険は、生命保険会社や損害保険会社などが提供する任意加入の保険商品で、公的医療保険では補えない部分をカバーするのが主な役割です。加入時に契約条件を選択し、入院日額や手術給付金、先進医療特約などのオプションを組み合わせられます。
給付金はあらかじめ定めた条件を満たすことで支給され、保険料の負担は加入者自身が負います。公的医療保険が義務であるのに対し、民間医療保険は任意で、自分のライフスタイルや家計状況に応じて柔軟に選択できます。
公的医療保険の種類
日本の公的医療保険には、「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3種類があります。それぞれの加入対象や保険料、給付内容を見ていきましょう。
被用者保険
被用者保険は、企業や公務員などの被用者とその扶養家族が加入する健康保険です。大企業の従業員向け「組合管掌健康保険」、中小企業向け「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)」、「船員保険」、「公務員向けの共済組合」の4つが主流です。
保険料は被用者の標準報酬月額に基づき計算され、被用者と事業主が折半して負担します。また、病気やけがで働けない期間に給付される傷病手当金、出産時に支給される出産手当金などの給付制度も充実しており、安心して療養や育児に専念できる仕組みが整っています。
国民健康保険
国民健康保険は、市区町村が運営する制度で、自営業者や農業従事者、無職の人など企業に属さない人が加入します。
保険料は世帯単位で算出され、所得割・均等割・平等割・資産割などの構成要素を合算し、世帯主が負担します。料率や計算方法は自治体ごとに異なるため、同じ所得でも地域によって保険料が変わる点に注意が必要です。給付内容自体は被用者保険と同様ですが、傷病手当金や出産手当金は対象外となる場合が多いです。
後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度は、75歳以上(65~74歳で一定の障害がある人を含む)を対象とした公的医療保険です。加入者本人が保険料を支払い、医療機関での窓口負担を軽減します。
一般所得者は1割負担、一定所得以上は2割、現役並み所得者は3割の自己負担です。年金受給額が年額18万円以上の人は、保険料が年金から天引きされ、手続きの簡素化が図られています。高齢期の医療費の安心を支える仕組みです。
公的医療保険の給付金一覧
公的医療保険では、医療費負担を軽減するための多様な給付制度が用意されています。主な給付金を紹介します。
入院時食事療養費
入院中に提供される食事について、自己負担限度額を超えた分が支給される制度です。標準的な自己負担は1食490円ですが、低所得者は230円、さらに低所得かつ過去1年間の入院日数が90日以上の場合は180円、70歳以上で特に所得が低い人は110円と、収入に応じた負担軽減措置があります。高額な食事費用の負担を抑え、長期入院時も安心して治療に専念できます。
入院時生活療養費
65歳以上の人が対象で、食事費用に加え居住費など生活にかかる費用が一定額を超えた場合に支給される制度です。食事代と居住費の自己負担を軽減し、高齢者の療養環境をサポートします。
高額療養費
医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が月額で一定額を超えた場合、その超過分が支給されます。上限額は年齢や所得に応じて設定されており、複数の条件を満たす場合はさらに負担を軽減できる仕組みです。
傷病手当金
傷病手当金は、病気やけがで4日以上勤務できず、十分な報酬が受け取れない場合に支給されます。支給期間は通算で最長1年6カ月までで、直近12か月間の標準報酬月額平均を30で割った額の3分の2が1日当たりに支給されます。治療に専念しながら、収入減少のリスクを緩和する重要な給付です。
出産育児一時金
妊娠85日以上の出産(早産・死産・流産・人工妊娠中絶を含む)をした被保険者または被扶養者に支給される給付金です。原則1児につき50万円が支給され、出産に伴う経済的負担を軽減します。
出産手当金
被保険者本人が出産のために会社を休み、その間給与が支給されない場合に受け取れる制度です。直近12カ月の標準報酬月額平均を30で割った額の3分の2が1日当たりに支給され、産前産後の休業を経済的にサポートします。
埋葬料・葬祭費
被保険者が業務外の事由で死亡し、その人によって生計を維持されていた人が埋葬を行う場合、最大5万円の埋葬料が支給されます。被扶養者が死亡した際には、被保険者に家族埋葬料が給付されます。一方、国民健康保険では「葬祭費」として自治体ごとに定めた額が支給され、葬儀にかかる経済的負担を軽減します。
民間医療保険の種類
民間医療保険は、保障内容や保険料の仕組み、加入基準などによって多様なタイプに分類されます。
保障期間による種類
保障が継続する期間の設定方法に応じて「終身型」「定期型」に分かれ、それぞれメリット・デメリットがあります。
終身医療保険
終身医療保険は、保険期間が定められておらず、契約を継続する限り一生涯保障が続くタイプです。加入時の保険料は更新時に変わらず、将来の保険料上昇リスクを抑えられる一方、若いうちに高めの保険料を支払う必要があります。長期間にわたって同じ保障内容を保ちたい人や、終身の医療費負担を見据えた資金計画を立てたい人に適しています。
定期医療保険
定期医療保険は、一定期間のみ保障を受けるタイプです。期間の設定方法には「年満期」と「歳満期」があり、年満期は10年や20年など契約期間を年数で設定、歳満期は60歳や90歳など年齢で設定します。保険期間が終了すると保障も終了しますが、保険料は終身型より割安に抑えられるため、育児期間や働き盛りの期間だけ手厚く備えたい人に向いています。
貯蓄性による種類
保険料に貯蓄機能が含まれるか否かで「貯蓄型」「掛け捨て型」に分かれます。
貯蓄型医療保険
貯蓄型医療保険は、満期保険金や解約返戻金などの貯蓄機能を備えたタイプです。一定期間経過後や解約時に受け取れる資金があり、老後の資金準備にも活用できます。ただし、貯蓄分の保険料が上乗せされるため、同程度の保障内容でも掛け捨て型と比較して割高になりやすい点に注意が必要です。
掛け捨て型医療保険
掛け捨て型医療保険は、満期保険金や解約返戻金がないタイプで、保険料は純粋に保障部分の費用のみで構成されます。そのため、貯蓄型と比べて保険料が安く設定されやすく、必要な保障だけを効率よく備えたい人に向いています。
保険の対象ごとによる種類
保障対象のライフステージや性別に特化した商品として「女性向け」「子ども向け」などがあります。
女性向け医療保険
女性向け医療保険は、一般的な医療保障に加え、乳がんや子宮がん、子宮筋腫など女性特有の疾病で入院・手術を受けた際の給付金が手厚く設定されています。また、女性のライフイベントに合わせた特約(妊娠・出産、乳房再建術など)を付加できる商品もあり、生涯を通して安心して備えたい人におすすめです。
子ども向け医療保険
子ども向け医療保険は、子どもの病気やけがに備える保険です。ただし、子どもは医療費自己負担が低く、自治体の助成制度も充実しているため、必要性や費用対効果をよく検討する必要があります。
保険の引受基準による種類
加入時の健康状態や告知項目の有無により「一般型」「引受基準緩和型」「無選択型」に分かれます。
引受基準緩和型医療保険
引受基準緩和型医療保険は、一般の医療保険に比べて加入時の告知項目が少なく、健康に不安がある人でも申し込みしやすい商品です。その分、通常の医療保険に比べて保険料が高くなる傾向があります。
無選択型医療保険
無選択型医療保険は、告知や審査を行わず誰でも加入できるタイプです。引受基準緩和型よりさらに加入が容易で、がんや生活習慣病の既往歴がある方の最後の選択肢として検討されます。
民間医療保険の給付金一覧
併せて、民間医療保険で用意される主な給付金の種類と概要を見ておきましょう。
通院給付金
通院給付金は、入院給付金が支払われた入院に続いて通院した場合に受け取れる給付金です。多くの保険商品では入院を伴わない通院のみでは支給されず、入院前後の通院を対象とするプランがあります。
入院給付金
入院給付金は、病気やけがで入院した際に受け取れる給付金です。契約時に定めた入院日額に入院日数を掛け合わせた金額か、一時金として支払われる場合があります。給付日数には1回または通算での上限が設けられることが一般的です。
手術給付金
手術給付金は、病気やけがによる手術を受けた場合に支給されます。給付対象となる手術の範囲や支払回数、入院の有無に応じた条件は保険商品ごとに異なります。入院を伴わない外来手術を対象としたプランもあります。
先進医療特約
先進医療特約は、医療保険やがん保険に追加して付加できるオプションで、陽子線治療や重粒子線治療といった先進医療技術の技術料を補償します。給付限度額は通算500万~2000万円程度が一般的で、治療実施時点で先進医療か否かの判断が必要です。
現状に合わせた最適な保険を選びましょう
医療保険にはさまざまな種類があります。ご自身やご家族のライフステージや経済状況に合わせて、公的制度と民間保険を組み合わせ、万一の医療費負担に効率よく備えましょう。
ゼクシィ保険ショップでは、各家庭の状況やライフプランを考慮した保険のアドバイスが可能です。「子どもが生まれたから保険の見直しをしたいが、どの保険がいいかわからない」「今の自分に最適な医療保険の入り方を知りたい」。このようなお悩みがある人は、お気軽にご相談ください。
※掲載の情報は2025年6月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。


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