介護保険と医療保険は併用できる?違いや条件をわかりやすく解説

更新日:2025/7/31
公的な介護保険と医療保険は基本的に併用できません。この記事では、保険加入を検討されている方に向けて、介護保険と医療保険の基本的な仕組みから、例外的に併用が認められるケースまでをわかりやすく解説します。さらに、公的制度ではカバーしきれない部分を補う民間の介護保険・医療保険の特徴についてもご紹介。将来の安心設計にぜひお役立てください。
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公的介護保険とは
公的介護保険とは一般的に「公的介護保険制度」を指し、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みです。2000年に施行された介護保険法に基づいて運営されており、要介護状態になった方に必要なサービスを提供することが目的です。
年齢や健康状態にかかわらず、誰もが介護を必要とする可能性があることから、相互扶助の精神で成り立っています。
公的介護保険は40歳で加入
公的介護保険への加入は40歳から始まります。40歳になると、基本的に全員が被保険者となり、保険料が発生します。この保険料は医療保険の保険料に上乗せされて一括徴収されるのが特徴です。
65歳に達すると、第1号被保険者に区分変更され、保険料は原則として年金から直接天引きされる方式に変わります。
公的介護保険の保障内容
公的介護保険のサービス利用には、市区町村による「要介護認定」が必要です。65歳以上の方は要介護認定を受けると、訪問介護やデイサービスなどのサービスを自己負担割合1~3割で利用可能です。
一方、40~64歳の方は、がんや関節リウマチなど老化に起因する16種類の特定疾病が原因で要介護認定された場合に限り、自己負担1割でサービスを受けられます。
公的医療保険とは
ここで解説する医療保険とは、「公的医療保険制度」を指します。これは病気やケガの治療費を公費と保険料で支え合う制度で、医療機関や薬局で提示する「保険証」はこの制度に基づきます。
日本の国民皆保険制度により、全員が何らかの公的医療保険に加入し、医療費の1~3割を自己負担することで、誰もが安心して医療を受けられる環境を実現しています。
公的医療保険は国民全員が加入
日本では国民全員が公的医療保険への加入が義務付けられており、年齢による制限はありません。加入する保険の種類は職業や年齢によって異なり、自営業者向けの「国民健康保険」、会社員向けの「協会けんぽ」や「組合健保」、公務員向けの「共済組合」などに分かれています。
公的医療保険の保障内容
公的医療保険の給付は「医療給付」と「現金給付」に分かれます。医療給付は病院や薬局でかかった診療費から自己負担分(1~3割)を差し引いた残額を公費で負担する仕組みです。
現金給付には、出産育児一時金や傷病手当金などがあり、保険の種類や加入期間に応じて支給されます。これにより、入院費や長期治療の経済的負担を大きく軽減できます。
公的な医療保険と介護保険の主な違い
公的医療保険は国民全員が加入する一方、介護保険は40歳以上が対象です。医療保険は受診・診療に伴う費用をカバーし、自己負担分のみを利用者が支払いますが、介護保険は要介護認定を受けた上でなければ利用できません。さらに、医療保険には利用限度額が設定されていませんが、介護保険には要介護度ごとに支給限度額があり、支給額の上限を超える部分は自己負担となります。
基本的に介護保険と医療保険の併用はできない
公的介護保険と公的医療保険では、訪問看護やリハビリサービスなど重複するサービスがありますが、原則として両制度を同時に利用できません。法律上、同一期間に同じ目的で両方を利用してはならないと定められており、例外的に併用が認められるケース以外は、どちらか一方の制度で対応する必要があります。
優先されるのは介護保険
要介護認定を受けた場合、公的医療保険・公的介護保険の両方が利用可能でも、介護保険の適用が優先されます。介護保険のサービス内容や自己負担割合が先に適用され、残余のニーズがあれば医療保険で対応します。要介護認定を受けていない場合は医療保険のみ適用されます。
介護保険と医療保険を併用できるケース
診断名や利用時期、対象疾患の違いにより、例外的に両制度を組み合わせて利用できるケースがあります。
診断名が異なる
公的介護保険サービスを利用中に、別の診断名で医療行為が必要になった場合、併用が認められることがあります。例えば、要介護認定を受けた関節リウマチのリハビリ利用中に、骨折の治療が別途必要になった際など、診断名が異なることで重複請求を避けつつ両制度を活用できます。
時期が異なる
同一診断名でも、利用期が重ならなければ併用できる場合があります。同じ月内で同時に両制度を利用することはできませんが、介護保険サービスの利用期間が終了した翌月以降であれば、医療保険を用いてリハビリを受けることが可能です。これにより必要な期間だけ途切れなくケアを受けられ、経済的負担の偏りも回避できます。
末期がんなどの難病である
末期がんや多発性硬化症、重症筋無力症など医療・介護双方の連携が不可欠な難病に対しては、例外的に併用が認められることがあります。難病患者は医療的ケアと日常生活援助の両方を同時に必要とするため、公的制度の枠を超えて柔軟にサービスを受けられる特例措置が用意されています。
民間の医療保険・介護保険とは
公的保険の補償範囲外をカバーするための保険として、任意で加入する民間の医療保険・介護保険があります。以下ではその特徴と活用法を解説します。
民間の医療保険・介護保険の特徴
民間の医療・介護保険は、公的保険の自己負担分や差額ベッド代、食事代、先進医療費など全額自己負担となる費用を補填(ほてん)します。さらに、入院や介護による収入減少を補償する給付金型プランもあり、公的給付と併用することで経済的な安心が格段に向上します。
商品によっては、所定の入院日額や介護状態に応じた年金形式、定額給付形式など多様なプランがあり、ライフステージやニーズに合わせて選択可能です。
公的保険制度と併用できる
民間保険は公的医療保険・介護保険との併用が前提で設計されています。例えば公的介護サービス利用時の自己負担分を民間介護保険が補填し、なお不足する部分を公的医療保険でカバーするといった組み合わせが可能です。
また、医療保険と介護保険の両方に加入している場合は、それぞれの給付要件を満たせば重複して給付を受けられるケースもあります。将来の介護・医療費増加に備え、経済的リスクを分散する上で有効です。
民間の医療保険・介護保険は内容をしっかり確認しよう
民間保険の商品内容や適用条件は保険会社やプランごとに大きく異なります。給付額や支払限度額、保険料水準、通院・在宅介護対応の有無などを詳細に比較しましょう。まずは公的制度でどこまで補えるかを把握し、自己負担の見込み額を試算することが重要です。不明点や複数プランの比較は、ファイナンシャルプランナーや保険ショップの無料相談を活用すると効率的です。
ゼクシィ保険ショップでは現在の状況やライフプランを踏まえた保険の相談が可能です。「どんな保険に入ったらいいかわからない!」「今の保険が最適なのか自身がない!」などのお悩みがある人は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。
※掲載の情報は2025年7月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。


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