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結婚で住民税はどう変わる?
結婚で変わる税金について詳しく解説

結婚で住民税はどう変わる?結婚で変わる税金について詳しく解説

更新日:2021/9/27

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税金にはさまざまな種類がありますが、その中でも私たちにとって身近なのが住民税や所得税です。結婚をすると、これらの税金の面でさまざまな変化が生じる場合があることをご存じでしょうか。税金の種類や支払いの条件などそれぞれ違うので確認が必要です。この記事では、住民税や所得税をはじめとした、結婚によって変わる税金の支払いについて詳しく解説します。

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    住民税や所得税の納税条件とは?

    住民税や所得税の納税条件とは?

    住民税や所得税は働く人が納める税金ですが、税金の支払い義務が発生するかどうかは年収によって異なります。以下で詳しく述べるように、それぞれの税金ごとに、条件となる年収額はさまざまです。

    「住民税」は配偶者の年収が100万円以上で発生

    住民税とは、住んでいる都道府県と市区町村に払う税金のこと。住民税の金額は、所得金額にかかわらず均等に課税される「均等割り」と、前年の所得に応じて課税される「所得割り」の2種類から定まります。基本的に配偶者の年収が100万円以上であれば、配偶者本人の住民税が発生します。ただし、市区町村によっては100万円未満でも住民税がかかるケースがあるため、住んでいる自治体に確認しておくと良いでしょう。

    「所得税」は配偶者の年収が103万円以上で発生

    所得税は個人の所得に対してかかる税金です。配偶者の年収が103万円以上であれば、住民税に加えて、配偶者本人の所得税が発生します。なおこの103万円という額は、「給与所得控除(最低55万円)」と所得税の「基礎控除(48万円)」を合算したものです。所得税の課税計算は1年間の収入から給与所得控除と基礎控除を差し引き、残った金額に所得税率をかけて算出します。この103万円という金額が、所得税が発生するか否かのボーダーラインになります。

    配偶者本人が「社会保険」に加入する条件とは?

    配偶者の年収が106万円以上で加入するケース

    社会保険とは、健康保険や厚生年金などのこと。配偶者の年収が106万円を超えると、配偶者本人が勤め先で社会保険に加入することになり、社会保険料が発生します。ただし、106万円を超えると社会保険料が発生する条件として、次のものがあります。

    ・正社員が501人以上の会社で働いている場合
    ・収入が月8万8000円以上の場合
    ・雇用期間が1年以上の場合
    ・所定労働時間が週20時間以上の場合
    ・学生ではない場合

    これらの条件を満たしていない会社で働いている場合は、年収が106万円を超えても社会保険に加入しなくても良いということになります。
    ただし勤め先が従業員500人以下の企業でも労使での合意により、社会保険に加入する場合もあります。

    配偶者の年収が130万円以上で加入するケース

    上述した5つの条件を満たさない会社で働いている場合、配偶者の年収が130万円を超えると自らが社会保険に加入し、社会保険料が発生します。その場合、配偶者が自分で勤務先の社会保険もしくは国民健康保険・国民年金に加入することとなり、月約3万円の社会保険料を負担することとなります。逆に年収が130万円以内であれば、納税者の扶養範囲内となり、納税者の勤務先で扶養者として加入ができ、社会保険料の負担をせずに済みます。

    結婚すると変わる税金や社会保険は主に4種類

    結婚すると変わる税金や社会保険は主に4種類

    ここまで住民税や所得税について解説してきましたが、それ以外にも結婚によって変わる税金があります。配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、贈与税など、それぞれ要件が異なるため確認が必要です。

    結婚で変わる税金【1】配偶者控除

    [配偶者控除とは?]
    「配偶者控除」とは、納税者本人や配偶者が一定の条件を満たしていると、所得から一定の額が控除される制度。これは扶養者(納税者本人)の税負担を軽減する制度です。

    [配偶者控除を受けるための条件]
    配偶者控除の対象となる条件として、納税者本人と配偶者に関してそれぞれ以下のように定められています。

    納税者本人:
    合計所得金額が1000万円以下であること
    配偶者:
    次の①〜④の条件を満たしていること
    ①民法の規定による配偶者であること
    ②本人と生計を一にしていること
    ③年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与収入の場合、年間収入103万円以下)
    ④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

    [配偶者控除の控除額]
    配偶者控除の控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額や、控除対象配偶者の年齢によって次のようになっています。

    控除を受ける
    納税者本人の

    合計所得額
    控除額
    一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者(※)
    900万円以下 38万円 48万円
    900万円超950万円以下 26万円 32万円
    950万円超1000万円以下 13万円 16万円
    (注) 老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。

    結婚で変わる税金【2】配偶者特別控除

    [配偶者特別控除とは?]
    配偶者に48万円(令和元年分以前は38万円)を超える所得があると、配偶者控除が受けられなくなりますが、そうしたケースでも、配偶者の所得金額に応じて、一定金額の所得控除が受けられる場合があります。これを「配偶者特別控除」といいます。

    [配偶者特別控除を受けるための条件]
    配偶者特別控除の対象となるには、納税者本人と配偶者に関して次の条件をすべて満たしている必要があります。

    納税者本人:
    合計所得金額が1000万円以下であること
    配偶者:
    次の①〜④の条件を満たしていること
    ①民法の規定による配偶者であること
    ②納税者本人と生計を一にしていること
    ③青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、
    または白色申告者の事業専従者でないこと
    ④年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること。
    パートタイマーなど給与収入であれば、年間103万円超201万6000円未満であること
    ⑤ 次の⑴~⑶の配偶者特別控除を受けていないこと
    ⑴ 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと
    ⑵ 配偶者が、勤め先へ提出する扶養控除等申告書で源泉控除対象配偶者がいるとして源泉徴収されていないこと(その後の年末調整や確定申告で配偶者特別控除を受けなかった場合等を除く)
    ⑶配偶者が、公的年金等の扶養親族等申告書で源泉控除対象配偶者がいるとして源泉徴収されていないこと(その後の年末調整や確定申告で配偶者特別控除を受けなかった場合等を除く)

    [配偶者特別控除の控除額]
    配偶者特別控除の控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額や配偶者の合計所得金額に応じて次のようになります(令和2年分以降)。

    配偶者の
    合計所得額
    控除を受ける納税者本人の
    合計所得金額
    900万円以下 900万円超
    950万円以下
    950万円超
    1000万円以下
    48万円超 95万円以下 38万円 26万円 13万円
    95万円超 100万円以下 36万円 24万円 12万円
    100万円超 105万円以下 31万円 21万円 11万円
    105万円超 110万円以下 26万円 18万円 9万円
    110万円超 115万円以下 21万円 14万円 7万円
    115万円超 120万円以下 16万円 11万円 6万円
    120万円超 125万円以下 11万円 8万円 4万円
    125万円超 130万円以下 6万円 4万円 2万円
    130万円超 133万円以下 3万円 2万円 1万円

    【2018年の税制改正】配偶者控除・配偶者特別控除の変更点

    ここまで紹介してきた配偶者控除や配偶者特別控除は、2018年分の所得税からこれらの制度に大幅な変更がありました。以下ではその変更の要点についても確認しておきましょう。

    [3つの変更ポイント]
    2018年の改正による変更のポイントは主に次の3つにまとめられます。

    1. 38万円の控除を受けられる配偶者の年収の上限が、それまでの103万円以下から150万円以下に拡充されました。

    2. これまでは、配偶者控除に夫の年収要件はありませんでしたが、改正後は夫の年収に要件が追加されました。合計所得金額900万円(年収1120万円)から段階的に控除の金額が減少し、合計所得金額1000万円超(年収1220万円超)は対象外になります。

    3. 配偶者特別控除を受けるための配偶者の年収の上限が、それまでの141万円から201万6000円へ変更され、それぞれの合計所得金額に応じた控除額が適用されます。

    結婚で変わる税金【3】扶養控除

    [扶養控除とは?]
    扶養控除とは、納税者が16歳以上の親族を扶養している場合、その人数に応じて所得税や住民税の負担を軽くする制度です。対象となるのは「6親等内の血族および3親等内の姻族」と定められていて、親や実子・養子、祖父母や孫に加えて、兄弟姉妹、祖父母のおいやめいの子、そして義親や兄弟姉妹の配偶者まで幅広く相当します。

    [扶養控除を受けるための条件]
    扶養控除を受けるためには、扶養親族が以下の全ての要件を満たしている必要があります。

    ・配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または里子・納税者と生計を一にしている
    ・年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
    ・青色申告者または白色申告者の事業専従者ではない
    ・上記に該当する扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人

    結婚で変わる税金【4】贈与税

    贈与税とは、年間110万円超の財産を受け取る場合にかかる税金のこと。通常、まとまったお金を受け取る際には、家族間でも贈与税がかかるため、注意が必要です。

    [結婚・子育てや教育資金に関連する非課税措置]
    家族間でも発生する贈与税ですが、結婚・子育てや教育資金については非課税措置が設けられており、条件を満たして申告書を提出すれば税金はかかりません。

    結婚・子育てについては「結婚・子育て資金の一括贈に係る贈与税の非課税措置」により、子・孫ごとに1000万円が非課税(結婚資金に関しては300万円まで)となります。対象になるのは挙式費用や結婚衣裳代、新生活にかかる家賃や敷金、転居費用、不妊治療や妊婦健診、分娩(ぶんべん)費用、子どもの医療費、幼稚園や保育園などの費用などです。

    [教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置]
    また、教育資金は「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」を受けられ、子・孫ごとに1500万円まで非課税(学校費用以外は500万円まで)となります。対象になるのは学校の入学金、授業料、備品購入費、修学旅行や給食費、塾や習い事、定期代、留学の渡航費などです。

    配偶者控除を利用する際の注意点

    税金の負担が軽減できるメリットの大きい配偶者控除ですが、活用する際にはいくつかの注意点があります。

    [配偶者の所得によっては本人に所得税・住民税が発生する]
    すでに触れたように、配偶者控除は納税者本人の税金を抑える仕組みです。配偶者控除の対象であっても、配偶者本人は所得が48万円以上の場合だと所得税の課税対象となり、住民税が発生する場合があることは理解しておく必要があります。

    また、給与収入者であり、配偶者特別控除の対象であっても、配偶者本人の収入が100万円を超えると住民税が、103万円を超えると所得税が発生することも理解しておく必要があります。

    [勤務先の扶養範囲を確認する]
    企業によっては家族を持つ社員に、「扶養手当」「家族手当」などが支給されます。扶養手当には法的な支払い義務はなく、就業規則に基づき、福利厚生として設定されています。

    そのため、扶養手当の支払い対象となる「扶養の範囲」については、企業により異なります。扶養手当をもらうためには、企業が扶養の範囲として設定している配偶者の年収を超えないようにすることが必要です。

    まとめ

    結婚することで住民税や所得税などの税金面で大きく変わる場合があります。せっかく制度の恩恵が受けられる立場なのに、知らなかったばかりに使いそびれてしまったらもったいないです。この記事を参照に、結婚した際の金銭的なメリットを生かせるようにしましょう。

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    ※掲載の情報は2021年9月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。

    ■監修・文/酒井 富士子(さかい ふじこ)

    経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
    日経ホーム出版社(現日経BP社)にて『日経ウーマン』『日経マネー』副編集長を歴任。
    リクルートの『赤すぐ』副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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