「お金」で考える結婚のメリットとは?
得する制度や注意点も紹介
更新日:2021/12/22
結婚することで生まれる利点の一つに、家族に対する税金や社会保険などの優遇制度が利用できるようになることがあります。そうした制度を活用することで、生活費が節約できるなど、「お金」に関するメリットもあります。そこでこの記事では、「結婚のお金に関するメリットが知りたい」人に向けて、具体的なメリットの内容や、利用できる制度の詳細や注意点などを紹介します。
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結婚のメリットは?
世の中の人は、どのような理由で結婚に踏み切るのでしょうか。「ゼクシィ結婚トレンド調査2021」によると、結婚を決めた理由の上位は次のようになっています。
1位 相手と一緒に将来を生きたかったから(80.5%)
2位 相手と一緒に生活をしたかったから(62.7%)
3位 子どもなど家族が欲しかったから(44.2%)
4位 精神的に安らぎが得られるから(36.6%)
5位 結婚する年齢になったから(26.6%)
※複数回答可
この調査から分かるように、「家族が得られる」「安らげる」といったことを結婚することの理由として感じている人が多いのは納得ですよね。その上で、結婚の金銭的な利点についてはどうなのか、ここからは、「お金」に関するメリットについて詳しく解説していきます。
結婚の「お金」に関する5つのメリット
①家賃の負担が軽減する
まず挙げられるのが家賃面での負担軽減。どちらも1人暮らしをしている場合、それまでよりも広い家に住む必要はあるかもしれませんが、おのおのが負担していた家賃の合計より安い新居にすれば、その差額分が浮くので、1人当たりの負担は減ります。家賃は毎月かかる固定費のため、節約できれば大きな経済的メリットとなります。
②食費などの生活費が減る
食費などの生活費も軽減できます。ひとりだと食材も無駄にしがちですが、ふたりだとまとめ買いができて、効率的に使い回しも可能です。外食をする回数も減るので結果として食費が浮くことに。また同様に、水道光熱費もそれぞれ払うより安くなります。
③無駄遣いが減る
結婚後にお金の管理を一元化することで、「相手のお金でもある」という意識が生まれることに。共通のお財布であって自分だけのものではないと考えると、自然と無駄な出費が抑えられるでしょう。
④貯蓄がしやすい
ここまで解説してきたように、お互い1人暮らしだった場合、結婚を機に一緒に暮らし始めることで家賃や光熱費をまとめられ、負担を軽減することができます。今まで貯蓄ができなかったという人でも、家計が一本化されたタイミングで貯蓄を始めやすくなるのもメリットだといえます。
実際、独身時代には貯蓄ができなかったが、結婚を機に貯金を始めたという人も多いです。
新婚生活実態調査2020によると、結婚を機に貯蓄を始めたという人は73.3%にも上っています。
貯蓄の目的は? |
---|
将来への備えとして・・・49.0% 出産・育児のため・・・32.6% 住宅購入資金として・・・21.6% その他の大きな買い物のため・・・14.5% 旅行等のレジャー費用として・・・13.4% 車の購入資金として・・・11.0% 特に目的はない・・・8.7% ※複数回答可 (リクルートブライダル総研調べ「新婚生活実態調査2020」より) |
このように貯蓄を始めて、後々使い道を考える人が多いということがわかります。
なお、夫婦の貯蓄については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
「共働き夫婦の貯蓄はいくらが適正?みんなの貯蓄額は?」
⑤税金や社会保険などの制度面での恩恵を受けられる
冒頭でも触れたように、結婚のメリットにはさらに、税金や社会保険をはじめとする制度面でもさまざまな恩恵を受けられるということがあります。「配偶者控除・配偶者特別控除」や「社会保険の被扶養者制度」、「家賃補助」など活用すれば負担を大きく軽減できるので、ぜひ活用したいところ。
以下ではこのような、結婚すると利用できる制度を詳しく解説していきます。
結婚で得する「お金」の制度
配偶者控除
「配偶者控除」とは、納税者本人と配偶者が一定の条件を満たしていると、所得から一定の額が控除される制度。配偶者控除の対象となる条件は以下のようになっています。
①民法の規定による配偶者であること
②本人と生計を一にしていること
③年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は、給与収入が103万円以下)
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額や、控除対象配偶者の年齢によって次のようになっています。
控除を受ける 納税者本人の 合計所得額 |
控除額 | |
---|---|---|
一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者(※) | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
出典:国税庁No.1191 配偶者控除
配偶者特別控除
配偶者に48万円(令和元年分以前は38万円)を超える所得があると、配偶者控除が受けられなくなりますが、そうしたケースでも、配偶者の所得金額に応じて、一定金額の所得控除が受けられる場合があります。これを「配偶者特別控除」といいます。 配偶者特別控除の対象となるには、次の条件をすべて満たしている必要があります。
①民法の規定による配偶者であること
②納税者本人と生計を一にしていること
③青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、
または白色申告者の事業専従者でないこと
④年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること。
パートタイマーなど給与収入であれば、年間103万円超201万6000円未満であること
⑤ 次の①~③の配偶者特別控除を受けていないこと
① 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと
② 配偶者が、勤め先へ提出する扶養控除等申告書で源泉控除対象配偶者がいるとして源泉徴収されていないこと(その後の年末調整や確定申告で配偶者特別控除を受けなかった場合等を除く)
③ 配偶者が、公的年金等の扶養親族等申告書で源泉控除対象配偶者がいるとして源泉徴収されていないこと(その後の年末調整や確定申告で配偶者特別控除を受けなかった場合等を除く)
控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額や配偶者の合計所得金額に応じて次のようになります。
(令和2年分以降)
配偶者の 合計所得額 |
控除を受ける納税者本人の 合計所得金額 |
||
---|---|---|---|
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 |
950万円超 1000万円以下 |
|
48万円超 95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超 100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万円超 105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万円超 110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万円超 115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万円超 120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万円超 125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万円超 130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万円超 133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
社会保険の被扶養者制度
社会保険とは、健康保険や年金のこと。納税者が会社員か公務員の第2号被保険者で、配偶者の年収が130万円未満の場合、健康保険の被扶養者となり、保険料を支払う必要がなくなります。年金に関しても同様に、配偶者の年収が130万円未満あれば、第3号被保険者となり、保険料を支払わなくても年金加入者となります。
ただし、納税者が自営業やフリーランスなどの第1号被保険者で、国民健康保険や国民年金に加入している場合は、配偶者も第1号被保険者となり、この制度の対象とはならないので注意が必要です。
家族手当
勤めている会社によっては、結婚することで毎月の「家族手当」や祝い金をもらえる場合があります。ただし、配偶者の年収103万円未満などの所得制限が付いている場合もあります。まずは一度お互いの会社の制度を調べ、自分が家族手当をもらえるかどうか確認してみましょう。
不妊治療の支援事業
不妊治療はすべての治療で健康保険が効くわけではないので、自己負担額が高額になりがちです。そうした不妊治療にかかる費用の負担を軽減するための制度が、「特定不妊治療助成」です。
体外受精または顕微授精といった特定不妊治療以外の治療法によっては治療の見込みがない、もしくは極めて低いと医師に診断された夫婦に対して、1回30万円の助成金が支給されます。原則、法律婚の夫婦(婚姻届けの提出をしている夫婦)対象です。また、各自治体で国の上乗せで特定不妊治療助成金があるところもあるので確認しておきましょう。
出典:厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業」
新婚世帯に家賃補助
自治体によっては、新婚世帯に家賃補助を支給している場合もあるので、新居を探すときにはぜひ念頭においておきたいところです。例えば東京都千代田区では、「次世代育成住宅助成」として、年間所得や住戸専有面積などの要件を満たしている世帯に対して、最長8年間の家賃補助が支給されます。千代田区内の民間賃貸住宅またはマイホームへの住み替えをする世帯のうち、次のいずれかに該当する世帯が対象です。
(1)親元近居助成
区内に引き続き5年以上居住する親がいる新婚世帯・子育て世帯である
区外から区内への住み替え、または区内での住み替えをする
(2)区内転居助成
区内に引き続き1年以上居住している子育て世帯である
区内での住み替えをする
結婚の「お金」に関する注意点
家計は一つにする
上で述べたように、結婚を機にお財布を一本化することは節約につながりやすくなります。逆にいうと、お互いの収入や貯蓄額を知らない「お財布別ルール」では、無駄遣いしやすくなり、いつまでも貯蓄できないという事態に陥りかねません。そのため、家計を一つにまとめることで、共有のお金として「家計」を意識することが大切です。
親戚付き合いにお金がかかることを想定しておく
結婚すると、相手の親やきょうだいなどとの親戚付き合いが生まれます。実家に帰省することも多くなり、独身時代よりも旅費がかかってきます。両実家へ帰省する際のふたり分の旅費は念頭に置いておくと良いでしょう。また親戚の数が増えると、冠婚葬祭の機会も増えるので、その分の費用もかさんできます。
お互いの「金銭感覚」を確認しておく
金銭感覚は人それぞれ。とはいえ、結婚して一緒に生活していく上で、夫婦間で金銭感覚の足並みを揃えておくことは必要でしょう。頭ごなしに相手の金銭感覚を否定するのではなく、お互いの価値観を尊重しつつ、どこまで譲れてどこから譲れないのかを探っていくことが大切です。金銭感覚があまりにも違う場合には、〇〇万円以上の買い物は相談する、最低でも月〇〇万円は貯蓄するといったルール作りをするのも手です。
「人生三大出費」を視野にライフプランを話し合う
一般に「人生三大出費」とは、教育資金・老後資金・住宅資金の3つを指します。子どもの教育、住宅購入、老後の生活は、さまざまなライフイベントの中でも特にお金がかかるため、「人生三大出費」に対する考え方を夫婦間で共有しておくことが大切です。
「子どもは欲しいか、欲しいとすれば何人か」「いずれは家を所有したいか、賃貸でよいか」「老後は家で過ごしたいか、施設に入りたいか」など、今後のライフプランを見据えた上で、お互いがどうしたいのかをじっくり話し合う機会を設けておくと良いでしょう。
また、教育費やマイホーム購入費、老後費用など、一般的にどのくらいかかるのかをあらかじめ調べて大体の必要額を把握しておくことも重要です。
貯蓄を計画的に行う
数年後、数十年後に必要なお金を、なるべく早いうちから計画的に貯めて備えておけば、いざというときに困ることがありません。とはいえ、計画性を持たずになんとなくの感覚で貯蓄しているのでは、家賃や生活費が軽減できる結婚の金銭的なメリットも生かせません。なんとなく余ったお金を貯蓄する人と計画的に貯蓄する人では大きな差が出ます。
ふたりで将来の貯蓄額を共有しつつ、まずはできる範囲から少しずつ始めてみるのが良いでしょう。また、預金を単に普通口座に置いておくだけではほとんど増えません。貯蓄に回せる額が安定してきたら、そのうち何割かは投資に回して、貯金の効率を上げましょう。
専門家に相談する
ここまで説明してきたように、結婚は家計についてきちんと考えておきたいタイミングです。とはいえ、将来を見据えたライフプランの作成や、自分たちの場合はどれだけ貯蓄に回せるかなど見通しを立てるのは簡単なことではありません。そうした際におすすめなのが、お金や家計管理のプロに相談することです。第三者のプロに相談することで、漠然とした不安が明確になったり、夫婦で具体的に話し合えたりすることも。
結婚を機にこれからのお金について考えてみましょう
さまざまな制度が利用できたり、貯蓄しやすくなったりなど、結婚することで金銭的なメリットが得られる場合があります。せっかく制度の恩恵が受けられる立場なのに、知らなかったばかりに使いそびれてしまったらもったいないですよね。
この記事を参考に、結婚した際の経済的な利点を生かせるようにしましょう。
ゼクシィ保険ショップでは、ライフプランニングやマネープランニング、家計管理や保険について、まとめて相談できます。何度相談しても無料です。おふたりの理想を丁寧にヒアリングし、家計のバランスや必要な備えについてアドバイスいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。
※掲載の情報は2021年9月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
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