外貨建て保険とは?外貨建て保険加入のメリット・デメリットを徹底解説
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更新日:2021/3/4
外貨建て保険とは、保険料が外貨で運用される保険のこと。超低金利の今、円建てよりも利回りが高いと注目が集まっています。結婚を機に保険の見直しや今後のライフプランを立てている中で、この外貨建て保険が気になっているという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、外貨建て保険の仕組み、円建て保険との違い、加入するメリット・デメリットなどを網羅的に解説していきます。この記事を読んで、ぜひ参考にしてください。
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外貨建て保険とは?
一般的な生命保険は、日本円で保険金を支払い、保険金や解約返戻金なども日本円で受け取ります。このタイプを「円建て保険」と呼びます。それに対して、外貨で保険料を支払い、外貨で保険金や解約返戻金を受け取るタイプの保険を「外貨建て保険」といいます。
保険料を外貨で支払う
外貨建て保険は、主に米ドル・豪ドル・ユーロなどの外貨で保険料を払い込みます。払い込むときには、自分で円を外貨に換金して払い込む場合と、保険会社が提示する円換算した金額を円で払い込む場合があります。払い込んだ保険料は、通貨国の国債を中心に運用されます。
保険金を外貨で受け取る
保険金や解約返戻金を受け取る際の通貨も外貨になります。受け取った外貨を円に交換する際には為替手数料が発生するというのも、外貨建て保険の特徴です。
円建て保険との違いは?
外貨建て保険と円建て保険の基本的な仕組みは同じです。ただし、外貨建て保険の場合、保険料・保険金・解約返戻金を外貨で運用するため、為替相場による「為替損益」が発生する点は大きな違いといえます。そのため、外貨建て保険では、為替リスクと運用利回りの両方を考慮し、理解した上で加入する必要があります。
外貨建て保険の種類と特徴
外貨建て保険にはいくつか種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
終身保険
終身保険は保障が一生涯続く保険で、万が一の場合に死亡保険金を受け取ることができます。外貨建ての場合、保険金や解約返戻金を受け取るときの為替レートにより、日本円で受け取れる金額は増減します。
養老保険
養老保険は、契約期間内に被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われ、何事もなく契約が満期を迎えると、死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れる、生死混合保険と呼ばれるタイプの保険です。外貨建ての場合、保険金や解約返戻金を受け取るときの為替レートにより、日本円で受け取れる金額は増減します。
個人年金保険
個人年金保険は、老後資金を準備するために活用される保険で、払い込んだ保険料を基に60歳以降に年金を受け取ります。外貨建ての場合、年金を受け取るタイミングの為替レートによって、受け取る金額が増減します。
外貨建て保険が注目された背景と現状
外貨建て保険の商品ラインアップが充実した背景の一つには、日銀の「マイナス金利政策」があります。ただしここ最近では、新型コロナウイルスの感染拡大などもあり、外貨建て保険を取り巻く状況も変わってきています。
日銀のマイナス金利政策により注目される保険
2016年に日銀によってマイナス金利政策が導入されて以来、日本では超低金利時代が続いており、より高い金利水準を維持している外貨に注目が集まるようになりました。それに伴って、各生命保険会社も貯蓄性の円建て保険の代わりに、外貨建て保険の販売を強化、さまざまな新商品が登場しました。
新型コロナウイルス感染拡大などで外貨の金利が低下
しかし、2019年には米中貿易摩擦の激化などによって、世界経済の不透明性が高まったこともあり、世界的に安全資産である国債が買われて価格が上昇。これによって米・豪ドルなどの金利が低下し日本との差が少なくなったことで、外貨建て保険の利回りの高さという魅力が薄れ、販売数が減少傾向にはなっています。
さらに2020年には新型コロナウイルス感染拡大に伴って、アメリカの長期金利が低下したことによって、外貨建て保険の利回りの高さという魅力が弱まってしまい販売数が減少、米国債などで運用する外貨建て保険の販売を休止する保険会社も出てきました。
外貨建て保険は、商品の内容やリスクなどをしっかり理解した上で検討するようにしましょう。
外貨建て保険のメリット
外貨建て保険のメリットにはどんなものがあるか見ていきましょう。
保険料が割安
契約時に設定する保険金額が同じ場合、「予定利率」が高い保険は、低い保険に比べると毎月支払う保険料が安くなります。外貨建て保険では、金利の高い外貨で運用することで円建て保険よりも運用収益を見込めるため、その分予定利率が高く設定されています。
そのため、外貨建て保険は円建て保険よりも保険料が安いというメリットがあります。
ただし先ほど述べたように、新型コロナウイルス感染症の影響で金利が下がり、外貨建て保険の保険料の安さというメリットが弱まってきている点には注意が必要です。
為替差益が出る可能性がある
外貨建て保険では為替相場の状況によって受取額が変わってきます。保険料を払い込んだときよりも受け取るときのほうが円安だと、受取額が増えるというのもメリットの一つ。例えば、1ドル=120円のときに12万円分(1000ドル)買い、受取時に1ドル=130円であれば、受取額は1000ドル×130円=13万円となるため、1万円のプラスとなります。
資産の分散運用ができる
外貨建て保険に加入することで、資産を円だけでなく、外貨に分散させることができます。資産をすべて円で保有していると、円の価値が下がった場合に資産全体の価値が下がってしまいます。外貨を資産の一部に組み込んで分散投資をすることで、安定して利益を得られる可能性が高まります。
生命保険料控除の対象となる
生命保険料控除とは、1年間に払い込んだ保険料を年末調整などの際に申告することで、所定の条件を満たす生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料の一部または全部が控除され、所得税などが軽減される制度のこと。
外貨建て保険の場合も、円建て保険と同様に年末調整や確定申告をすることで生命保険料控除の対象になります。生命保険料控除を受ける際には、契約した保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」を年末調整や確定申告の書類に添付して申告します。
円建て保険の場合、生命保険料控除証明書は秋口に保険会社から送付されますが、外貨建て保険の場合、外貨を日本円に換算して申告する必要があるため、秋口には支払う保険料が確定しません。そのため、秋口にいったん予定額を通知し、12月の保険料確定後に正式な生命保険料控除証明書を送るなど、保険会社によって対応が違うので、送付されるタイミングをあらかじめ確認しておくと安心です。
また、資産運用目的で外貨建て保険を利用する場合、一時払いや全期前納払いをすることも多いのですが、一時払いだと初年度に一括して保険料を支払うため、生命保険料控除はその年だけ対象となります。一方で、保険会社に預けたお金から毎年保険料を支払う全期前納の場合は、毎年生命保険料控除の対象になります。
外貨建て保険のデメリット
では、次に外貨建て保険のデメリットを見ていきましょう。
為替変動のリスクがある
先ほど解説したメリットと逆なのですが、保険料を払い込んだときよりも受け取るときの方が円高となっている場合、反対に受取額が少なくなり、場合によっては受取額が元本割れしてしまう可能性もあります。例えば1ドル=120円のときに12万円分(1000ドル) 買い、受取時に1ドル=110円であれば、受取額は1000ドル×110円=11万円となるため、1万円のマイナスとなります。
為替手数料がかかる
円と外貨を交換する際には為替手数料が発生します。この手数料は保険会社ではなく契約者が負担しなくてはならず、円建て保険にはないデメリットだといえるでしょう。
契約・解約時に手数料がかかる
外貨建て保険の場合、契約初期費用がかかります。この費用は支払った一時払い保険料から差し引かれ、残りの金額が運用されます。また、解約した場合には「解約控除」という解約手数料がかかる場合も(保険商品によって違います)。そのため、あらかじめどんな手数料がかかるかを保険会社に確認しておく必要があります。
外貨建て保険の加入に向いている人
メリット・デメリットを踏まえて、外貨建て保険に向いているのがどんな人か見ていきます。
資産を円以外の通貨に分散投資したい人
すでに述べたように、外貨建て保険のメリットの一つは、分散投資ができるということ。そのため、自分の資産を日本円以外の通貨で分散投資したいと考えている人にとっては有効な選択肢となります。
投資目的の保険商品を契約したい人
外貨建て保険は運用がうまくできれば資産を増やすことができます。万一の際の保障だけでなく、リスクを理解した上で投資目的も兼ねた保険に加入したいという人は検討してもいいかもしれません。
外貨建て保険の加入に向いていない人
次は、外貨建て保険が向いていない人を見ていきましょう。
元本割れのリスクを避けたい人
外貨建て保険は、元本保証がされているわけではありません。為替変動によって資産が減ったり、元本割れをするリスクを伴うため、そういったリスクを絶対に避けたい人には外貨建て保険は不向きです。
為替リスクを理解できていない人
外貨建て保険は、外貨を扱うという性質上、大きな為替リスクを伴う金融商品です。金融商品の仕組みや為替のことを理解できていない人にはおすすめできません。
外貨建て保険の加入時に気を付けるべきポイント
外貨建て保険に加入する際には、リスクをきちんと理解した上で以下の点に注意するようにしましょう。
為替の動向を常に注意する
加入時には、そのときの為替水準がどうなのか、今度円安・円高のどちらに進みそうかといったことを冷静に判断する必要があります。
加入・受け取りのタイミングに気を付ける
外貨建て保険では、円高時に払い込んで、円安時に受け取るのが損をしないための鉄則。為替差益を出したり、元本割れのリスクを避けたりするためには、この点に考慮しながら加入や受け取りのタイミングを決めていく必要があります。
手数料がかかることを忘れない
各種手数料がかかる点にも注意する必要があります。外貨建ての保険料を円で支払い、保険会社で外貨に両替してもらう場合や、外貨の保険金・解約返戻金を日本円で受け取る場合には一定の為替手数料がかかります。また、これは外貨建て保険に限ったことではありませんが、契約の際にかかる契約初期費用や、中途解約時に解約控除が差し引かれるものがあります。
外貨建て保険の選び方
実際に外貨建て保険を選ぶ際には知っておきたいポイントがいくつかあります。大きく3つ挙げたのでチェックしていきましょう。
為替手数料も確認して商品を選ぶ
繰り返し説明してきたように、外貨建て保険ではいくつかのタイミングで為替手数料が発生します。資産形成に保険を利用しようとする場合、この為替手数料は馬鹿になりません。保険に加入する際には為替手数料がいくらかなのかをきちんと確認することが重要です。貯蓄性が同じならば、可能な限り手数料の低い商品を選ぶようにするのが鉄則です。
保険金を据え置ける商品を選ぶ
保険によっては、受取時に保険金を外貨のまま生命保険会社に据え置けるタイプがあります。この機能を活用すれば、例えば円高のときにはそのまま預けておき、円安になってきてから日本円に換えて受け取るということも可能です。保険を選ぶ際には、この保険金の据え置き機能があるかどうかは必ずチェックしましょう。
リスクの低い通貨を選ぶ
変動幅が大きい外貨の方が、為替リスクが高くなります。元本割れのリスクを避ける上では、金利の高さだけを見るのではなく、リスクの面に考慮することが大切です。
まとめ
外貨で保険料の払い込みや保険金の受け取りを行う外貨建て保険。為替差益が狙える、分散投資ができるといったメリットがある一方で、為替リスクが伴うというデメリットもあります。仕組みやリスクをきちんと理解した上で加入の判断をすることが大切です。
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※掲載の情報は2021年2月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
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