年代別!押さえておきたい生命保険の選び方
更新日:2020/10/21
生命保険と聞くと、死亡したときに遺族が保険金を受け取る保険だと認識されがちですが、死亡時の保障(死亡保険)だけでなく、医療保険やがん保険なども生命保険に含まれます。
どんな生命保険に入ればいいのかと悩む人も多いのですが、年代や環境によっても商品選びのポイントは変わるため、一概にこの保険に加入した方がいいとはいえません。とはいえ、結婚して家族が増えれば責任も重くなるので、公的制度や貯蓄でカバーしきれない部分を生命保険で備えることを考えるべきです。そこで、ここでは20代・30代・40代・50代・60代と年代別に 生命保険の選び方のヒントをご紹介します。
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20代の生命保険の選び方
まずは就業不能保険を考えてみよう
独身のうちは、死亡保障については自分の葬儀費用程度があれば十分でしょう。そのため、死亡保険には無理に加入する必要はないという考え方が一般的です。
一方、病気やケガをした場合の備えとして、入院給付金を受け取れる医療保険や、長期間働けなくなったときに受け取れる就業不能保険は入っておくことがおすすめです。就業不能保険には、最近急増している「うつ病」などの精神疾患に対応したタイプもあります。特に社会人になって間もないころは、貯蓄も十分でないことが考えられるので、いざという時困らないように考えておきたいものです。
結婚に伴い医療保険・死亡保険を検討
結婚したら、配偶者のことを考えて死亡保険への加入も検討しましょう。配偶者にもしものことがあった場合、共働き家庭でまだ子どもがいなければ保障額はそれほど多くなくてもよいでしょうし、専業主婦(夫)家庭であれば、残されたパートナーが一定期間の生活費を賄える程度の保障額が必要です。夫婦によって必要な保障額は変わります。
また、結婚して子どもが欲しいと考えている女性は、できるだけ早いうちに医療保険に加入することを検討しましょう。妊娠中や出産直後は、医療保険への加入を断られたり、加入できても条件が追加されたり、給付金を受け取れないケースがあるためです。
いざというとき、きちんと保障を受けられるよう、健康に自信があっても早めに対策を考えるよう心掛ける必要があります。
30代の生命保険の選び方
子どもの将来を考えた保険の検討を開始
夫婦ふたりだけの生活の間は、死亡保険に加入していなかったという人もいるでしょう。しかし子どもが生まれたら、その子の将来のことを考え、死亡保険への加入を検討しましょう。死亡保険は大きく定期保険と終身保険に分類されますが、定期保険は保障期間が有期で掛け捨てが主流。更新のたびに保険料がアップします。それに対して終身保険は一生涯の保障を得られるタイプで、途中解約をすると解約返戻金が受け取れる貯蓄性があります。
定期保険には逓減定期保険といって一定期間ごとに保険金額が減っていくタイプもあります。さらに、保険金を一括(一時金)ではなく、年金形式で給料のように受け取れる収入保障保険という保険もあります。
死亡保険の保険料はトータルすると大きな金額になりますので、加入する際には自分はどのタイプの保険に加入すべきか、メリット・デメリットを考えて決めましょう。子どもが生まれる前に死亡保険に加入していたという場合でも、保険内容を必ず見直して、子どもの養育費や学費を加味した死亡保障額にしておきましょう。子どもの誕生後は育児で忙しくなるので、出産前に見直しをするのがおすすめです。
住宅ローンと団体信用生命保険
なお、家を購入して住宅ローンを組んだ場合は、ほとんどが団体信用生命保険(団信)に加入することになります。これは契約者に万一のことがあった場合、保険金がローンの残債の返済に充当される仕組みの保険です。契約者に万一のことがあっても、家は残り、住宅ローンはなくなるので、団信に加入した後にはすでに加入している生命保険の死亡保障額を見直し、保険料の負担を減らしましょう。
医療保険
30代に入ると、若いときは健康に自信のあった人でも、不調を感じやすくなります。特に女性特有の病気である子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫(のうしゅ)は20代よりも30代の方がかかりやすくなります。また、高齢出産になると切迫早産や帝王切開のリスクも高まりますが、女性特有の病気に手厚い「女性向け医療保険」に加入していれば、それらに伴う手術で保障を受けることができます。
また、女性は若いうちから乳がんや子宮がんのリスクに備え、女性向けのがん保険への加入を視野に入れてもよいでしょう。
20~30代は、多くの人が子どもの誕生、住宅の購入などでライフスタイルが大きく変わる時期です。その都度、生命保険を見直し、加入しすぎている、あるいは保障が少なすぎるという事態に陥らないよう注意しましょう。
40代の生命保険の選び方
死亡保障以外の保険料・保障内容を再確認
40代は教育費や住宅ローンが家計を圧迫する時期です。死亡保障はまだまだ必要ですが、子どもが成長するにつれて必要な保障額も減るため、積極的に保険の見直しをしてコストダウンに努めましょう。ただし、保険を解約してもう一度加入しなおすと、加入年齢が上がっているため保険料がアップすることも多いので、安易に解約するのではなく、保障と保険料のバランスを考慮して慎重に検討してください。
がん保険
40代になると健康上のリスクも高まってきます。特に、日本人の死因第1位のがんへの備えが気になるという人も多いでしょう。そんな人が検討したいのが、がん保険です。がん保険は保障対象をがんに絞っているため、がんに対する保障が手厚いのが特徴です。入院・手術以外に、診断や通院なども給付金の対象となる商品もあります。
50代の生命保険の選び方
生命保険を中心に見直し
家庭によっては子どもたちが独立し、大きな死亡保障は必要なくなる年代です。その場合は生命保険を見直して保険料の負担を軽減しましょう。その一方で、晩婚化が進んでいるので、教育費や住宅ローンの支払いが続いている家庭もあるでしょう。それに加えて親の介護もスタートしてしまい、子どもと親のダブルで費用負担がかかってしまうなんていうこともありえます。さらに、自分自身の老後についても考えなくてはいけない時期にもなります。
この年齢になったら、健康への備え(医療保険、がん保険など)については、以前から加入しているものを継続するとよいでしょう。
老後資金の準備
それ以外に、自身の老後資金を準備する手段として、50代からでも個人年金保険は加入できます。個人年金保険にはさまざまな種類があり、契約時に受け取る年金が確定している定額タイプと運用の結果で受け取る年金が変わる変動タイプがあります。
受け取り方も5年、10年といった決まった期間受け取ることができる確定年金や、生きている限りずっともらえる終身年金があるのが特徴です。
投資や運用が苦手、一括でお金を受け取っても計画的に使えないという人は、まとまったお金を分割して受け取れる個人年金保険を利用して、老後資金を準備するという方法もあります。
60代の生命保険の選び方
今後の10年、20年をイメージして、保険も見直しを
60代になると、定年退職をする人もいれば、まだまだ働くという人もいますが、健康への不安はより一層強まっていきます。60歳になるタイミングで、今後の10年、20年をイメージして、保険も見直しをするといいでしょう。年齢を重ねてから病気やケガをした場合は、入院が長引くケースもあります。現在加入している医療保険があれば、できるだけ継続するほうがよいでしょう。
相続のことも考える時期に入るので、加入している保険はすべて把握し、必要のないものは整理するようにしてください。また、保険の内容を自分の子どもなどに共有して、万一のときに家族が困らないようにしておきましょう。
生命保険の選び方は、ライフスタイルの変化や年齢に応じて、変わってきます。ライフスタイルが変化したときに、生命保険を見直すことで、多すぎる保障をカットしたり、少なすぎる保障に気付くことができるのです。
長い人生の中では、子どもの誕生、マイホームの購入といったさまざまなイベントもありますし、年を重ねるにつれ病気のリスクも大きくなっていきます。その時々に応じて、自分に必要な保障は何なのかを考えることで、いざというとき、家族や自分のお金を守ることができます。まだ加入をしていないという人は、早いうちから生命保険への加入を検討するとよいでしょう。
※掲載の情報は2020年9月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
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