保険料控除申告書の訂正・修正方法は?年末調整の注意点も解説
更新日:2022/11/28
勤務先へ提出する年末調整書類の作成時や提出後に、保険料控除申告書の間違いに気付いた、保険料控除の申告を忘れていたなどで対応に困った経験がある人がいるかもしれません。ここでは、どのような場合に訂正や修正が必要なのか、訂正や修正の方法期限などをわかりやすく解説。年末調整書類作成時の注意点も併せてお伝えします。年末調整を行う際にぜひ参考にしてください。
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保険料控除申告書とは
保険料控除申告書は、年末調整のために11月から12月初旬ごろに勤務先から配布され記入・提出を求められる書類の中の一つ。正式な書類名は「給与所得者の保険料控除申告書」と言います。毎月の給与から差し引かれていない個人で支払っている保険料などの控除(生命保険料控除や地震保険料控除)を受けたい場合に、この書類に契約状況を記入し勤務先に提出します。提出する際には、保険会社から送付される「保険料控除証明書」を添付します。
年末調整の際に提出する書類は3種類
年末調整のタイミングで勤務先に提出する書類は主に以下の3種類です。
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- 「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
- 「給与所得者の保険料控除申告書」
これらの3つの書類をまとめて一般的に「年末調整書類」と呼んでいます。
また住宅ローン控除を受けている場合は、これらに加えて「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書」も提出する必要があります。
年末調整とは
そもそも「年末調整」とは、毎月の給与や賞与から天引きされた所得税と、年末に確定するその年に納めなければならない所得税の正確な金額を比較して、その過不足を精算する手続きのこと。上で挙げた従業員から提出された3種類の年末調整書類の内容を基に、勤務先が年末調整を行います。1月から12月までの1年間の所得から個人の事情によって異なる所得控除額(生命保険に加入していれば保険料控除、扶養している配偶者がいれば配偶者控除など)を差し引くことで税額が決まります。一般的に年末調整をすると個人での確定申告が不要になるので、便利な制度です。
どのような場合に保険料控除申告書の訂正や修正が必要?
次項で解説するような場合に訂正や修正が必要になりますが、特に勤務先に年末調整書類を提出した後に生命保険料控除の数字に関する記載内容に不備があった場合は控除額が変わるため、修正処理が必要になります。源泉徴収書類を勤務先に提出した後に保険料控除申告書の不備に気が付いた場合は、必ず勤務先に報告しどのように処理したらいいか指示を仰ぐようにしましょう。ただし控除額の修正について勤務先での年末調整の処理期限に間に合わない場合は自分で確定申告することになるので注意しましょう。
訂正や修正が必要なケース
年末調整書類を書き間違えた
- 申告書を記入した際の誤記や住所間違い
- 記入欄の書き間違い
- 数字を含む契約内容の記載ミスなどの不備
保険料控除を希望しているにもかかわらず申告していなかったが申告できる状況になった
- 純粋に忘れていたのを思い出した
- 年末調整提出期限までに保険会社からの書類が届かなかったものが届いた(保険会社の「保険料控除証明書」を紛失してしまったが出てきた・紛失したため取り寄せ中だったものが届いた・新たに加入したなど)
- 既に提出した証明書以外にも申請できる控除証明書が出てきた
保険料控除申告書の訂正・修正方法
保険料控除申告書の訂正・修正には一定のルールがあります。適切な手順で訂正・修正ができるよう、きちんと確認しておきましょう。
記載ミスした場合の訂正方法
単なる書き間違えなどは以下のような流れで訂正します。
訂正部分に二重線を引く
↓
二重線の近くに正しい内容を記載する
↓
二重線に重ねて訂正印を押す
他の公的な書類、契約書などと同様に訂正をするには、二重線と訂正印が必要です。訂正時、赤ペンの利用は可能ですが、二重線と押印は必要になります。訂正印は認印でも可能ですが、スタンプ印は不可です。また修正液や修正ペン、修正テープは利用不可となっています。
控除額の修正方法
年末調整の修正をする場合には、通常、新たな用紙に記入して、再度提出します。ただし勤務先によっては元の用紙の提出も必要な場合や訂正で対応してくれる場合もあるため、必ず修正方法の指示を仰ぐようにしましょう。
また、保険料控除の申告を忘れていたり、保険会社からの書類到着が間に合わなかったため申告していなかった場合(新規加入や紛失していたため取り寄せた場合)は、新たに書類を作成し保険会社から送られてきた書類「保険料控除証明書」を添付して勤務先に提出します。
上記どちらの場合も、勤務先には修正申告であることを伝える必要があります。
保険料控除申告書の訂正や修正の期限
年末調整で訂正や修正に対応する場合は、遅くとも勤務先が税務署へ年末調整を提出する期限までに手続きを行う必要があります。この期限は、令和5年は1月31日までとなっています。ただし、勤務先がそれよりも前に処理を終える場合は訂正や修正を断られることもあるため注意が必要です。
また、年末調整の期限に間に合わなかった場合や、会社側で受け付けてもらえなかった場合は、自分で確定申告を行って対応します。確定申告期限は、令和5年は3月15日までとなっています。なお還付申告のみであれば、確定申告の受付開始日以前から申告が可能です。
その年の年末調整の再調整や確定申告の期限は国税庁のホームページで確認することが可能です。
年末調整書類を勤務先に提出する際の注意点
年末調整の書類を提出する際には、いくつか気を付けるポイントがあります。きちんと把握して、提出時に間違えないようにしましょう。
保険料控除以外の申告書についても修正がないか確認する
年末調整書類の提出後に、以下のようなことがあった場合、書類の修正と再提出が必要になります。訂正・修正の方法は、保険料控除の場合とほぼ同じような流れになります。
・扶養家族の人数が変わっていないか?
親が扶養に入った場合や、年内に再婚し再婚相手に子どもがいた場合など、扶養家族の人数に変更があったら「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。
・配偶者の年収が変わっていないか?
配偶者の所得が変わり、受けられる控除が変更になった場合は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を提出します。
書類提出後に記載内容と現状に違いがあることに気付いたら、勤務先に報告し対応の指示を仰いでください。
生命保険料控除の場合、対象者に注意
生命保険料控除の対象となるには「契約している保険の保険金受取人が、自分自身または配偶者や親族である」といった条件があります。そのため、離婚した配偶者がそのまま受取人になっている場合などは注意が必要です。
また生命保険料の控除は、実際に保険料を支払った人に適用される点も押さえておきましょう。例えば、保険の契約者が妻、実際の保険料の支払いは夫(銀行口座名義やクレジットカード名義が夫)の場合、控除の適用は夫になります。
医療費控除や寄附金控除などは確定申告が必要
医療費控除やセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受けたい場合、または個人で支払った寄付金の控除を受けたい場合などは、年末調整では対応できません。そうした場合には確定申告を行う必要があります。なおこの際、年末調整の訂正内容も併せて手続きする方法もあります。
年末調整書類は正しく記載して提出する
年末調整書類を勤務先に提出する前であれば内容訂正で済みますが、提出した後に気が付いた場合は勤務先の再修正作業が発生したり、自分で確定申告する手間がかかってしまう場合もあります。そのため、まずは年末調整書類を配布された際は正しく記載して提出することを心がけるようにしましょう。
とはいえ年末の多忙な時期に手続きを行う必要があるので記入漏れや間違いをしてしまう可能性はあります。間違いに気が付いた場合はすぐに訂正し、書類提出後は書類の訂正や修正ができるかを勤務先に確認してみましょう。
【参考】生命保険を契約していた場合どれくらい控除される?
生命保険に加入している場合、支払った生命保険料に応じて一定額が所得金額から生命保険料控除として差し引かれます。これによって所得税と住民税を減らすことが可能になります。生命保険料控除を受けるためには、1年間に支払った生命保険料を年末調整か確定申告で申告することが必要になります。
生命保険料控除で対象となる保険は、「一般生命保険料控除」、「個人年金保険料控除」、「介護医療保険料控除」の3つに分かれています。これらの適用限度額を合計した12万円が、生命保険料控除の上限額となります(限度額は国税庁のホームページで確認することができます)。
なお、生命保険料控除には、「新制度」と「旧制度」があります。
新制度…契約日が2012年(平成24年)1月1日以後
旧制度…契約日が2011年(平成23年)12月31日以前
どちらに当てはまるかによって、控除額が変わりますので、どちらが自分に適用されるのかを確認しておきましょう。
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誤りに気付いても慌てずに対応を
年末調整書類の提出後に、記載の誤りに気付いた場合や、記載内容に変更が生じた場合でも、提出期限内であれば訂正や修正を行うことが可能です。そのような場合でも慌てることがないよう、訂正・修正の方法や期限などについてきちんと把握しておくようにしましょう。
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※掲載の情報は2022年11月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
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