妊娠・出産でかかる費用と受け取れるお金
更新日:2020/10/9
妊娠・出産は病気ではないため、健康保険が適用されず、原則として医療費は自己負担になってしまいます。そのため、妊娠・出産にかかるお金のことで、不安を抱く人もいるのではないでしょうか?
しかし、そこまで心配する必要はありません。というのは、妊娠・出産でかかった費用が戻ってきたり、出産した後に受け取れるお金もあるからです。ただし、自分で申請しないと受け取れないお金もあるので、妊娠や出産に関わるお金についての知識を持つことが大事です。
そこで、「妊娠・出産は何にいくらかかるの?」「もらえるお金にはどんな種類があるの?」「実際にどれくらいもらえるの?」といった、妊娠・出産時のお金に関する疑問について、しっかり解説していきます。
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妊娠・出産にかかる費用は?
まず、知っておきたいのが妊娠や出産にかかる費用はどれくらいかということ。費用の項目ごとに分けて説明していきます。
妊婦健診費用
妊婦健診費用の目安は妊娠の段階で変わります。
時期 | 健診頻度 | 回数 | 1回の自己負担 | 合計 |
---|---|---|---|---|
初期 | 初期健診まで | 2回 | 1万~2万円程度 | 3万円 |
~23週 | 月1回 | 4回 | 1000円程度 | 4000円 |
~35週 | 2週に1回 | 6回 | 1000円 | 6000円 |
出産まで | 1週に1回 | 約4回 | 3000円 | 1.2万円 |
・妊娠初期〜6カ月(4週ごろ〜23週まで)
妊娠がわかり、赤ちゃんの心拍が確認できたら、住んでいる地域の役所で母子手帳と一緒に妊婦健診の受診票(補助券)をもらいます。
妊娠・出産の医療費には健康保険が適用されませんが、これを健診ごとに利用することで、健診費の自己負担を抑えられます。
2回目の健診(初期健診)まではまだ受診票(補助券)が使用できないので、かかるお金は全額自費になります。それ以降は、月に一度の健診になり、1回当たり1000円程度で受診できます。
・妊娠7カ月〜9カ月(24週〜35週まで)
安定期を過ぎて妊娠後期に差し掛かる妊娠7カ月から、妊婦健診は2週間に一度となります。健診費は1回当たり1000円程度です。
・妊娠10カ月(36週〜出産まで)
臨月に入ったら、妊婦健診は週に一度です。この時期には、赤ちゃんの心音を聞くためのノンストレステスト(NST)を行うので、健診費が約3000〜5000円程度に上がります。
妊娠中の検査費用
妊婦健診時にはさまざまな検査をします。検査内容には以下のようなものがあります。
・体重測定、血圧測定、尿検査(毎回)
・超音波検査
・血液検査(貧血検査・血糖検査・HIV抗体・梅毒・B型肝炎・C型肝炎・風疹検査)
・クラミジア検査、HIV抗体、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、風疹検査
・貧血、血糖検査
・B群溶連菌検査
・子宮頸(けい)がん検査
・ノンストレステスト(NST)など
これらの検査にかかる費用は、上記の妊婦健診費に含まれるのが基本です。別途お金を支払うことはあまりありません。
分娩(ぶんべん)・入院の費用
分娩から入院〜退院までにかかる費用には、以下のものがあります。
・分娩料
・入院料
・新生児管理保育料
・検査、薬剤料
・処置、手当料
・個室ベッド料 など
分娩の種類には、大きく分けて自然分娩(経膣分娩)と帝王切開があります。自然分娩時の痛みを軽くする無痛分娩(和痛分娩)を選択できる産院もあります。どの出産方法を選択しても、健康保険から「出産育児一時金」として子ども1人当たり42万円が支給されます。(※出産育児一時金は全国健康保険協会より 2020年8月時点現在)
出産費用は、地域やどの産院で出産するかによっても大きく変わります。出産する産院は、地域の産院の料金や設備などを比較して、総合的に判断するとよいでしょう。
出産前後にかかる費用(医療費以外)
出産前後には、医療費以外にも何かとお金がかかります。まず、妊娠中はこれまで着ていたサイズの服が着られなくなりますので、マタニティー用の服や下着を用意しなければなりません。
出産前には赤ちゃんを迎えるためのベビー服やベビーベッド、ベビー布団、ベビーカー、チャイルドシートなども用意します。入院時に使うパジャマ代や洗面用具なども必要でしょう。
出産後には、赤ちゃんのおむつ代やミルク代、もらった出産祝いを返すための内祝い代などもかかります。
出産後、大切な赤ちゃんのためにしっかりお金をかけたくなりますが、まずは絶対に必要というものだけを準備し、出産後に必要になったらその都度買い足すことです。今はネット注文ですぐに必要なものが届く時代ですから、使うかどうかわからないものを先回りして買うよりも、本当に使うかどうかを見極めてお金を賢く使っていきたいですね。
ただし、出産後は何かとバタバタしますから、必要なものが何なのかしっかりとリサーチして、それらについてはきちんと用意しておきましょう。
妊娠・出産で受け取れるお金
妊娠・出産に関して、健康保険などから受け取れるお金もあります。それぞれの制度の内容やもらえる金額について、解説していきましょう。
全員が受け取れるお金
妊娠・出産をする方が全員受け取れるお金は、以下の通りです。
・妊婦健診費の助成制度(妊婦健診受診票・補助券)
・出産育児一時金
・児童手当
妊婦健診費の助成制度は妊婦健診費用を助成する仕組みです。妊娠が確認できてから、住んでいる自治体の役所で、受診票(補助券)を受け取ることができます。
上述した通り、出産育児一時金は赤ちゃん1人当たり42万円を支給するというものです。直接支払制度(健康保険組合が直接、医療機関に対して出産育児一時金を支払う制度)が利用できる産院で出産すれば、産院には42万円を差し引いた金額を支払えば済むので、会計時に大きなお金を支払う必要がありません。直接支払制度を利用できない場合は、出産後に健康保険組合に申請してお金を受け取りましょう。
児童手当は、役所に出生届を出すときに併せて手続きをすれば、申請した翌月から受け取れます。受給額は自治体によって異なりますが、0〜3歳未満は1万5000円/月、3歳〜中学生は1万円/月が目安です。一定以上の所得がある場合は、年齢を問わず5000円/月となります。
これらは申請すれば確実に受け取れるお金ですので、漏れなく申請しましょう。
働くママが受け取れるお金
会社で働くママは、以下のお金も受給することができます。
・出産手当金
・育児休業給付金
出産手当金は、産休中の出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までを対象として、健康保険からもらえるお金です。受給額は月収の約67%程度です。産後に必要書類を集めて、会社経由もしくは直接健康保険組合に提出すれば、提出した数カ月後に受給できます。(全国健康保険協会HPより 2020年8月時点現在)
育児休業給付金は、会社経由で雇用保険から受け取ることができ、育休中のママを対象に養育している子が1歳となった日の前日まで支給されます。(厚生労働省HPより 2020年8月時点)
また、一定の要件を満たした場合は、最大で1歳6カ月または2歳となった日の前日まで受給できる場合があります。ただし、初回の振り込み後は2カ月ごとに申請が必要なので、忘れずに行いましょう。
条件に該当する人が受け取れるお金
ほかにも、条件に該当する人が受け取れるお金があります。
・医療費控除
・高額療養費
・傷病手当金
医療費控除は、1年間の医療費が10万円(所得金額200万円以下の方は、所得金額の5%)よりも多くかかった場合に、その差額を所得金額から控除できる仕組みです。(国税庁HPより 2020年8月時点)
確定申告をすれば所得税が減った分だけ還付を受けることができます。なお、治療のための医療費であれば、家族全員分を合算して申告することができます。
高額療養費は、ひと月当たりの医療費の自己負担額が一定以上になった場合、その超えた金額が健康保険から返金される制度です。(全国健康保険協会HPより 2020年8月時点現在)
特に帝王切開や吸引分娩などをした方は医療費が高く、給付の対象になりやすいので、かかった金額を確認してみましょう。
傷病手当金は、ケガや病気により働けなくなった場合に、収入の67%程度が最長で1年6カ月、健康保険から支払われる制度です。(全国健康保険協会HPより 2020年8月時点現在)
妊娠中に、重度のつわりや切迫流産・切迫早産などで休職した場合に受給することができます。健康保険組合に申請する際には、医師のコメントや意見書が必要です。
これからかかる「お金」について、知っておきませんか?
妊娠・出産を乗り越えてからも、お金に関して知っておきたいこと・考えておきたいことがあります。
まさに「今」が検討のタイミング
妊娠・出産には、お金の面でサポートしてもらえるさまざまな制度があります。事前に制度があることを知っておくことで、損することなく受け取れることができるのです。
出産後に続く長い人生、これからの「お金」について知ることは、とても大切なこと。育児や教育に関するお金、マイホームの購入費用、老後のための準備など、人生の節目ごとに大きく変わる必要なお金について、どれくらい必要でどう備えていくのか、今が検討するタイミングといえます。
子どもが生まれると育児でバタバタしてしまうため、出産前の今のうちからお金の知識を身に付けて、今後のライフプランについて考えていきましょう。
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※掲載の情報は2020年9月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
RT-00329-2009