高齢出産のリスクと知っておきたい備え方
更新日:2020/12/10
高齢出産とは何歳で出産することでしょうか?また、「自分も高齢出産になりそう」「高齢出産だとリスクがあるのかな…」など、心配に思われる方もいるかもしれません。
そこで、今回は母体にも子どもにも安全な妊娠・出産のために、今からできることや注意すべき点、心構えなども学んでいきましょう。
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高齢出産とは?
日本産婦人科医会では「初産の年齢が35歳以上」であることを、「高年初産」としています。「高年初産」はいわゆる「高齢出産」のことをいいます。本コラムでは、わかりやすくお伝えするため、「高齢出産」として説明致します。
厚生労働省の平成30年「人口動態調査」(第4表) によると、母親の全年齢出産数総数における第1子出産の35歳以上の割合は約21.1%です。また、第1子を出産した時点での母親の平均年齢は、2018年は30.7歳となっており、1995年の27.5歳から比較すると3歳以上上昇しています。平均年齢の推移から見ても、第1子を出産する年齢が上がってきていることが分かります。
高齢出産の場合に高まる主なリスク
高齢出産=リスクが高い、と決めつける必要はありませんが、妊娠・出産に関してどんなリスクがあり、実際、どのリスクが高くなる可能性があるかは、知っておくといいでしょう。
日本産婦人科医会では、出産のタイミングが高年齢になることにより、以下のようなリスクがアップすると調査データを発表しています。
- 妊娠しにくくなる
- 流産率が高くなる
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妊娠前後の様々な産科異常の率が高くなる
- 妊娠前からある異常(子宮筋腫など)
- 妊娠中の異常(妊娠高血圧症候群など)
- 分娩時の異常(分娩誘発や陣痛促進を必要とする率の上昇など)
- 染色体異常の頻度の上昇
高齢出産の該当する人は、これらのリスクを知った上で、少しでも安心して妊娠、出産迎えるよう備えておくことも大切でしょう。
妊娠・出産時への備えは?
これからの妊娠・出産のために、今からできることを考えていきます。
健康面での備え
母体にも子どもにも安全な妊娠・出産のために、妊娠前からできることをご紹介します。
・葉酸の摂取
葉酸は水溶性ビタミンであるビタミンB群の一種です。数多くの疫学研究から、受胎前後における葉酸摂取により胎児の神経管閉鎖障害(NTDs: neural tube defects)の発症リスクが低減することが報告されました。(引用:三戸夏子、「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」 e-ヘルスネット厚生労働省(2019))同時に、葉酸の摂取は、妊娠中はもちろん、妊娠の可能性がある妊娠前から摂取することで効果的と紹介されています。
葉酸はおもに野菜や柑橘類、大豆などに多く含まれます。しかし、食品中から葉酸を妊娠前後に採るとよいと言われている400μgを摂取するのはむずかしいと言われています。そのため、サプリメントなどの栄養補助食品を併用するのも一考です。
・定期的に健康診断や女性系の検診を受けておく
妊娠をすると、病気の治療を受けることが難しくなる場合があります。また、子どもが産まれると忙しくなり、自分の健康は後回しになる人もいるようです。特に子宮がん検診、乳がん検診等は妊娠前を希望する場合は早めに受けておくことをおすすめします。もし病気が見つかった場合には、妊娠前に治療を済ませておきたいところです。
・妊娠中の妊婦健診をしっかり受けよう
妊娠をした後も、母体の健康には気を配るようにしましょう。妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から妊娠35週までは2週間に1回、妊娠36週から出産までは週1回の受診が基本です。先述の通り、高齢での妊娠による合併症などのリスクは高くなるため、妊娠中の健診は忘れずに受けるようにしましょう。
保険(お金)の面での備え
特に高齢出産の場合は、妊娠前後の様々な産科異常の率が高くなるため、常にリスクを考える必要があります。もしも妊娠中の健診で病気が見つかった場合、入院や手術を伴う治療となれば、その治療費が大きくなる可能性もあるでしょう。また、妊娠した後、出産時にも、帝王切開での出産など、手術費用がかかることもあります。
保険商品によっては妊娠中に加入すると妊娠・出産に関連する疾病は保障されない不担保の条件が付くこともあります。 事前によく調べ、加入のタイミングも含めて医療保険について検討しておくのもいいかもしれません。
リスクが高いと言われる高齢出産ですが、リスクだけを見て過度に不安になったりする必要はありません。まずは健康管理、定期的な検診をなど、自分自身でできることをして、妊娠、出産を迎えられるようにしましょう。
※掲載の情報は2020年11月現在のものです。保険や税制、各種制度に関して将来改正・変更される場合もあります。手続き・届け出の方法も随時変わる可能性や、自治体により異なる場合があります。
RT-00406-2011